日本は「建国記念日」ではなく「建国記念の日」として祝日に定められていることは意外と知られていないでしょう。
ではなぜ「建国記念の日」なのか?「建国記念日」との違いは?ということや、そもそもなぜ2月11日なのか?という日本の「建国記念の日」に関するなぜ?について解説しています。
目次
祝日が色々変わっているけど2021年の建国記念の日はいつ?
2021年(令和3年)の「建国記念の日」は2月11日(木)です。
ハッピーマンデーの導入で祝日が変則的になっている為、もしかして「建国記念の日」も変わるかも?と思う人もいるかもしれませんが、「建国記念の日」は政令で2月11日と日付が定められているので、その年によって日付がかわることはありません。
ちなみに、「春分の日」と「秋分の日」は天文学との関係で、前年の2月1日にならないと正式には決定されません。
つまり、2022年の「春分の日」と「秋分の日」は、2021年の1月の時点では未定なのです。
詳しくは国立天文台のWebページをご参照下さい。
「建国記念の日」はなぜ2月11日なのか:由来や制定の経緯について解説!
国民の祝日に関する法律(祝日法)によれば、「建国記念の日」の趣旨は「建国をしのび、国を愛する心を養う」としています。
この「建国記念の日」について、いつから制定されたのか?なぜ2月11日なのか?といったことについて解説します。
「建国記念の日」はいつから制定されたか、その経緯を解説
現在の「建国記念の日」が制定されたのは1966年(昭和41年)の政令の公布からです。
もっと昔から決まっているものだと思いきや、「建国記念の日」と制定されたのは意外と最近なんだと思うかもしれません。
これには理由があり、確かに「建国記念の日」と制定されたのは1966年(昭和41年)ですが、もともと明治時代から建国を祝う日として「紀元節」という祝日があったのを一度廃止されたからなのです。
なぜ「紀元節」が廃止されたかというと、第二次世界大戦後のGHQによる占領政策の一環で、日本の文化から国家神道を廃絶しようとした為、国家神道と結びつきのある「紀元節」は1948年(昭和23年)に廃止されたのです。
その後、戦後の主権回復などの流れの中で「紀元節」復活の動きが高まり、現在の「建国記念の日」として制定されたという経緯があります。
日本の「建国の日」とは?:「建国記念の日」はなぜ2月11日なのかを解説
さて、そもそも日本は何をもって「建国の日」としているのでしょうか。
それは、初代・神武天皇が即位した日をもって日本の「建国の日」としています。
では初代・神武天皇が即位した日はいつなのかというと、日本最古の正史(国家の正式な歴史書)『日本書紀』によれば、紀元前660年1月1日とされています。
2020年(令和2年)から2680年前ということになりますね。
それならば「建国の日」は1月1日じゃなのか?と思いますが、これは太陰暦(旧暦)での日付で、それを現在の太陽暦(グレゴリオ暦)に換算すると2月11日になるのです。
つまり、初代・神武天皇が即位した紀元前660年1月1日を、現在の暦に換算すると2月11日となり、これをもって「建国記念の日」としているわけですね。
ちなみに初代・神武天皇については下記の記事で触れていますので、関心のある方は併せて読んでみて下さい。
-
初代天皇はいつからいる?始まりとなる初代神武天皇の西暦など簡単に解説!
新しい天皇陛下が即位され、令和元年はそれに伴う一連の行事が執り行われましたね。 そこで、あらためて「天皇」について関心を持った人も多いと思います。 この記事では、「天皇」はいつからいるの?始まりは?初 ...
続きを見る
日本はどっち?なぜ「建国記念日」ではなく「建国記念の日」なのか意味の違いから解説!
それでは、なぜ日本は「建国記念の日」としているか、「建国記念日」との意味の違いから解説していきましょう。
「建国記念日」と「建国記念の日」の意味の違いを解説
「記念日」は歴史的事実として記録に残っており、確定した日付を記念する意味があります。
一方「記念の日」は、はっきりと確定した日付ではないが、そのことを記念する日という意味があります。
わかりやすい例で言うと、アメリカは1776年に独立宣言が公布された7月4日を「独立記念日」としています。
つまり、歴史的事実として確定した日付の7月4日をアメリカの「独立記念日」としているわけです。
一方、「記念の日」のわかりやすい例をあげると、クリスマスがそれにあたります。
クリスマスの12月25日は「キリストの誕生を祝う記念の日」で、「キリストの誕生日」ではありません。
実はキリストの誕生日はわからないんです。
まとめると
- 「記念日」・・・確定した日付を記念する日
例:アメリカの独立記念日(7月4日) - 「記念の日」・・・はっきりと確定した日付ではないが、そのことを記念する日
例:クリスマス(12月25日)※キリストの誕生を祝う記念の日
日本はどっち?なぜ「建国記念日」ではなく「建国記念の日」なのか解説
上記のことから、日本の「建国の日」は2月11日だから「建国記念日」だと思うかもしれません。
「建国記念の日」なのか「建国記念日」なのかどっちかわからなくなるかもしれませんが、あくまでも日本は「建国記念の日」です。
なぜそうなったかというと、ひとつは法案を提出する過程で、当時の野党による反対もあり法案はなかなか成立しなかったことがあげられます。
また、歴史学者の間では『日本書紀』で書かれている初代・神武天皇は、実在の人物ではなく神話に登場する架空の人物であり、神武天皇の即位を「建国の日」とすることに反対する人が多かったようです。
こうした反対意見もあった為、たんに「建国されたという事を祝う記念の日」という解釈ができるよう折り合いをつけ、「建国記念日」ではなく「建国記念の日」となったのです。
まとめると
- 法案に反対する野党の影響があった。
- 神武天皇の実在性を疑問視する歴史学者の反対があった。
- 反対意見に折り合いをつける為に「建国記念日」ではなく「建国記念の日」とした。
「建国記念の日」がなくなる可能性は?
このように日本の「建国記念の日」は、『日本書紀』に記された神武天皇の即位をもとに制定されている事はわかってもらえたと思います。
現在はあまり意識していませんが、実は戦後に廃止されていた時期があることや法案成立過程で紆余曲折があったことなどから、日本の社会情勢が変われば、もしかしたら「建国記念の日」はなくなってしまう可能性は否定できませんね。
もしそんな時がきた時は、日本という国が悪い方向に進んでしまっている事の現れかもしれません。
「建国記念の日」は当たり前にあるものとして何気なく過ごしていますが、それは平和であることの証でもあると言えるでしょう。
これをきっかけに、日本の建国、日本の成り立ちについて知ってみるといいかもしれません。
その為には日本最古の歴史書の『古事記』や、2020年に編纂から1300年となる日本の正史『日本書紀』を読むことをおすすめします。
また、初代・神武天皇の誕生に至るまでの日本の神話についてダイジェストでまとめましたので、関心のある方は下記の記事を参考にしてみて下さい。
-
古事記の日本神話のあらすじをわかりやすく解説!流れと登場人物を時系列で
「古事記」は、和銅5年(西暦712年)に編纂された、日本最古の歴史書です。 と言われても、歴史の授業で名前を聞いたことがあるくらいで、ピンとこない方も多いと思うので簡単に言うと、神々の誕生から日本の国 ...
続きを見る