オオクニヌシ

大国主命と鼠(ねずみ)の関係を古事記の神話やスサノオとの関連から解説!

2020年1月25日

出雲大社に祀られる神様の大国主命(オオクニヌシノミコト)を調べていると、鼠(ねずみ)のキーワードが出てくると思います。

「はて?大国主命と鼠(ねずみ)はどんな関係があるのかな?」と気になった人はぜひ読んでみて下さい。

この記事では、大国主命と鼠(ねずみ)にまつわる神話をご紹介しながら関係性を解説していますので。

※大国主命は当初「大穴牟遅神(オオナムヂノカミ)」という名前でしたが、ここでは「大国主命」としています。

 

大国主命とはどんな神様なのか『古事記』の神話をもとに簡単に解説!


引用元:wikipedia

まずは出雲大社に祀られている大国主命(オオクニヌシノミコト)がどんな神様なのか、家系図と『古事記』に描かれている大国主命の神話をご紹介します。

『古事記』で記されている大国主命(オオクニヌシノミコト)の家系図

  • ご先祖様・・・須佐之男命
  • 妻・・・須勢理毘売命 etc.
  • 子供・・・八重事代主神、建御名方神 etc.

『古事記』で描かれる大国主命は、日本の最高神・天照大御神(アマテラスオオミカミ:以後アマテラス)の弟であり、ヤマタノオロチを退治したことでも有名な須佐之男命(スサノオノミコト:以後スサノオ)の6代後の子孫にあたる神様です。

そのスサノオの娘・須勢理毘売命(スセリビメノミコト:以後スセリビメ)が正妻ですが、他にも多くの女性と結婚しており、実は恋多き神様でもあります。

また、息子の八重事代主神(ヤエコトシロヌシノカミ)と建御名方神(タケミナカタノカミ)は、後にアマテラスとの「国譲り」神話の中で登場します。

 

大国主命が登場する『古事記』の神話を簡単に解説

『古事記』には大国主命が登場する神話は数多くありますが、その神話を簡単にご紹介しながら『古事記』では大国主命がどのような神様として描かれているか、簡単に解説します。

大国主命は因幡の白兎を助けた心優しい神様ですが、兄の八十神(ヤソガミ)達にいじめられて2度も殺されてしまう弱々しい神様でした。
しかし、生き返った大国主命は、ご先祖様のスサノオの元に行って成長し八十神を従えるようになります。
その後は様々な神様の協力を得ながら、地上世界・葦原中国(あしはらのなかつくに)の国造りを完成させ、豊かな国にしていきました。
しかし、もともと葦原中国は、天上世界・高天原(たかまがはら)のアマテラスが統治すべき国だったので、大国主命は自らが作り上げた葦原中国をアマテラスに譲ることにしました。そしてその葦原中国を譲った代わりに出雲大社を造り、そこに鎮座することにしたのです。

こうして『古事記』の大国主命の神話をみると、もともとは弱々しい存在だった大国主命が、他の神々の助けも借りながら成長し、やがては国を造るほどの存在になったことがわかります。
いわば大国主命の神話は、少年マンガの主人公のような成長ストーリーなんですね。

 

 

大国主命と鼠(ねずみ)との関係を『古事記』のスサノオとの神話から解説!

東京国立博物館に展示されていた、本居宣長の「訂正訓古事記 上巻」大国主命とねずみが登場する場面

 

大国主命が根の国にるスサノオの元へ:スセリビメとの出会い

大国主命は因幡の白兎を助けたことで、かえってそれがアダとなり、兄の八十神達に2度も殺害されてしまいます。
母神の助けもあり大国主命は生き返りますが、それでもまだ八十神達に命を狙われます。

かくまっていた大屋毘古神(オオヤビコノカミ)の勧めで、大国主命は根堅州国(ねのかたすくに:以後「根の国」)にいるスサノオを頼ることにします。

大国主命が根の国に着くと、そこには美しい女性がおり、すぐにお互い惹かれ合います。
そして2人はその場結婚することを決意しました。この女性の名前はスセリビメ、スサノオの娘です。

スセリビメは父・スサノオに大国主命のことを紹介すると、スサノオは「おお、これは葦原色許男(あしはらのしこお)じゃないか」と大国主命と呼び、部屋の中へと招き入れました。
※「葦原色許男」は「葦原醜男」とも書きますが、ここでは良いイメージの呼び名です。

 

大国主命への試練?:スサノオが案内した部屋は蛇だらけ

大国主命はスサノオに歓迎されたのかと思いきや、案内された部屋には蛇がうじゃうじゃと這い回っていて、「そこで一晩過ごせ」と嫌がらせのように言いました。

大国主命が驚いて困っていると、スセリビメがスカーフの様な比礼(ひれ)という布をこっそり大国主命に渡しました。
そして、蛇が襲ってきたらその比礼を3回振ればおとなしくなる、とアドバイスをします。
大国主命は言われたとおりにすると、蛇はおとなしくなり、その部屋で無事に一晩過ごすことができました。

しかしスサノオの嫌がらせのような試練は続きます。
翌日、同じようにスサノオに案内された部屋には、今度はたくさんのムカデと蜂が飛び交っていました。
大国主命は、昨日と同じようにスセリビメから受け取った比礼を使い、この晩もなんとかしのぎ切りました。

 

ねずみは神の使い?:大国主命がスサノオの試練を乗り越える

スセリビメの助けもあり、大国主命は無事にスサノオに入れられた部屋から出ることができました。
ところが、スサノオの試練はこれだけでは終わりません。

今度は大国主命を野原に連れ出し、遠くの方に矢を放って「その矢を拾ってこい」と命じます。
大国主命はやむなくその矢を拾いに野原を探し回っていると、なんとスサノオは火のついた矢をその近くに放ったのです。
すると矢を探している大国主命の周りは火の海に包まれ、絶体絶命のピンチに陥ってしまいます。

火の海に包まれ、なす術もなく死を覚悟した大国主命のもとに一匹のねずみが現れます。
そしてそのねずみは「内はほらほら、外はすぶすぶ」と言って、大国主命に地面を踏むように合図を送りました。
大国主命はねずみの合図のとおり地面を踏むと、穴が空いて大国主命はその穴に落ちました。
大国主命はしばらくその穴の中にいると、やがて地面を覆っていた火は消えていて、無事に生還することができたのです。
穴から出ると、なんとねずみはスサノオが放った矢をくわえて持ってきてくれました。

このように、大国主命がスサノオのあまりにも無謀な試練を乗り越えられたのも、ひとえにねずみのおかげだったのです。
大国主命にとって、ねずみは命を救ってくれた神の使いのような存在と言えるでしょう。

 

それでもまだ続くスサノオの大国主命への試練

このようにねずみの助けもあり、大国主命はスサノオの無謀とも言える試練を無事に乗り越えたました。
と思ったのもつかの間。なんとスサノオの試練はまだ続きます。

今度はスサノオの部屋に呼ばれ、頭にいるシラミをとってくれと言われます。
大国主命は、言われるがままにスサノオの頭をのぞきこむと、なんとそこにいたのはシラミではなくムカデでした。
大国主命が困惑していると、またもスセリビメが助け舟をだしてくれます。
椋(むく)の実と赤土を大国主命に渡し「椋の実を噛んで赤土と一緒に吐き出せば、ムカデを噛んでいると勘違いするはずです」とアドバイスをしてくれます。
大国主命はスセリビメのアドバイスのとおりにすると、どうやらスサノオはすっかり信じたようで「けなげな奴だな」と安心して眠ってしまいました。

 

スサノオの試練を乗り越えた大国主命は国造りへ

スサノオが眠ってしまったのを見て、大国主命は逃げ出すには絶好のチャンスだと思いました。
逃げ出す為に、スサノオの髪を束ねて家の柱に結びつけ、大きな岩で家の入口の扉を塞いでしまいます。

そしてスセリビメを背負い、スサノオの家にあった太刀と弓矢と琴を携えて、2人はそこから逃げ出しました。
ところが、逃げている途中で大国主命は琴の弦を木の枝に触れさせてしまうと、琴から地鳴りのような大きな音出てしまいました。

するとその音にスサノオは目覚め、2人が逃げ出したことに気づいてしまいます。
それに激怒したスサノオは、すぐに2人を追いかけようとしますが、髪が柱に絡まっていたのでなかなか走り出すことができません。
それをうっとうしく思ったスサノオは、なんと柱ごと引っ張って走りだしたのです。
そのせいで家が壊れようがお構いなしです。

しかし、大国主命とスセリビメは、なんとか根の国と地上世界との境界である黄泉比良坂(よもつひらさか)まで逃げ延びると、スサノオも追いかけるのをやめてしまいます。

そして逃げていく大国主命に向かって「持っていった太刀と弓矢で八十神を倒せ!そしてお前は大国主命と名乗り、娘のスセリビメを正妻として国を造り、出雲の国に天高くそびえる宮殿を造るんだぞ!この奴!」と、荒々しくも大国主命を応援するかのような言葉をかけました。
もしかしたらこれまでの過酷な試練は、大国主命が立派に成長して国造りができるようになる為のもので、実は愛情の裏返しだったのかもしれませんね。

 

 

鼠(ねずみ)だけではない『古事記』にある大国主命の動物との神話

大国主命にとって、ねずみは命を救ってくれた神の使いのような存在だということはわかって頂けたと思います。

さて、記事内でも少し触れましたが、有名な「因幡の白兎」の神話でうさぎを助けたのは大国主命です。
『古事記』には数多くの神様が登場しますが、主要な神様の中で動物と会話している場面があるのは大国主命だけです。
しかも兎とねずみだけではなく、その後カエルとも会話する場面があります。
ちなみに「因幡の白兎」の神話は下記の記事でまとめていますので、併せて読んでもらえると嬉しいです。

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こうして見ると、大国主命は神様や人や動物と別け隔てなく触れ合っている存在であることがわかります。
このことも少年マンガの主人公に通じるところがありますね。

もしかしたら、誰からも愛される存在の神様であるからこそ、縁結び神様として祀られているのかもしれませんね。
もし出雲大社に参拝しに行こうと思っている人がいたら、行く前にぜひ『古事記』の大国主命の神話を読んでみて下さい。
きっと現地での楽しみ方が倍増するはずです。

 

ちなみに、出雲大社に祀られる大国主命は縁結びの神としても有名ですが、その理由のひとつは大国主命自身が恋愛物語の多い恋多き神様だということが言えます。
その大国主命の恋愛物語については下記の記事にまとめていますので、大国主命の違う一面も知りたい人はぜひ読んでみて下さい・

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なお、『古事記』の神話についておおまかなあらすじを下記の記事でまとめていますので、まずは簡単に『古事記』のことを知りたいと思った人は参考にしてみて下さい。

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