「鬼滅の刃」の鬼舞辻無惨の元ネタは「古事記」の神話に登場イザナミなのかもしれません。
イザナミって何?それってどういうこと?と気になった人はぜひ読んでみて下さい。
目次
イザナミ(伊邪美岐神)とは?『古事記』の神話から簡単に解説!
まずは鬼舞辻無惨の元ネタと考えられるイザナミ(伊邪那美神:イザナミノカミ)についてどんな神様なのか『古事記』の神話から簡単にご紹介します。
イザナミとはどんな神様なのか簡単に解説
イザナミとは、まだ世界が混沌としていて日本の国土も無かった頃に誕生した女神です。
この世界に誕生した神様は始めは男女の区別のない独神(ひとりがみ)でしたが、やがて男神と女神の夫婦が誕生し、その最後に生まれたのが夫のイザナギ(男神)と妻のイザナミ(女神)の夫婦の神様です。
ちなみに、一番最初に生まれた神様は「天之御中主(アメノミナカヌシノカミ)」といい、イザナギ・イザナミが生まれる前に多くの貴い神様が誕生していました。
その後、先に誕生した他の神々の総意によって、イザナギ・イザナミ夫婦が日本を造ることになります。
それに従ってイザナギ・イザナミ夫婦は日本の島々やそこに住む神々を次々と生み出し、こうして日本は作られたのです。
つまり、イザナギ・イザナミ夫婦は、この日本を創造した神様というわけなんですね。
イザナギ・イザナミの『古事記』の神話を簡単に紹介
さて『古事記』では、神々の誕生のあと、イザナギ・イザナミが日本を創造する神話が記されます。
このイザナギ・イザナミ夫婦の神話を簡単にご紹介しましょう。
イザナギ・イザナミの「国生み・神生み」神話
天上の神々の総意によってイザナギ・イザナミは、まず日本の国土となる島々を生むことにします。
ところが最初に生まれたのは手足の無いヒルコで、次に生まれたのも泡のような島でした。
そこで、天上世界の神々に相談すると、今度はうまく生み出すことができ、この時最初に生まれたのが淡路島です。日本の国土の始まりが淡路島というのは驚きですよね(笑)
その後も次々と島を生み出し、こうして今の日本の国土が形成されたわけなんですね。
イザナギ・イザナミは、今度はその島に住む神々を生み出すことにします。
この時、海の神や山の神など、数多くの神々を生み出していきます。
ところが、最後に事件が起こってしまったのです。
イザナミが火の神・火之迦具土神(ヒノカグツチノカミ:以後カグツチ)を生む時に、御陰(みほと:陰部)にやけどを負ってしまい、瀕死の状態に陥ってしまいます。
イザナミは激しく嘔吐し、糞尿を垂れ流しながらも神々を産み続けます。
夫のイザナギは必死に看病しますが、その甲斐もむなしくイザナミは死んでしまったのです。
イザナミを死に追いやったカグツチに対して、なんとイザナギは怒りのあまり首を刎ねて殺してしまいます。
その時、カグツチから飛び出た血からも様々な神が生まれたのでした。
イザナギがイザナミを追いかける「黄泉の国」
死んでしまったイザナミの事が忘れられず、イザナギは死者の棲む黄泉の国へと向かいます。
その黄泉の国の御殿の扉の前で、イザナギは「一緒に帰ろう」とイザナミに呼びかけます。
しかし、イザナミは「すでにこの黄泉の国の食べ物を食べてしまい、この世界の住人なってしまったから帰れない」と言いながらも「この世界の神に帰れるかどうか相談してくるから待っていて。ただし、私が戻ってくるまで絶対に見ないで」と念を押してイザナギに答えました。
ところが、イザナミはいつまで経っても戻ってこない為、しびれを切らしたイザナギは御殿の中へと入ってしまいます。
すると、そこには腐敗したイザナミの姿があり、驚いたイザナギは逃げ出してしまいました。
約束を破られ、醜い姿を見られたイザナミは激怒して、逃げるイザナギを追いかけまわします。
イザナミから逃げ延びたイザナギは、「黄泉の国」と現実世界の境界を岩で塞ぎ、永遠の別れ言葉をイザナミに告げます。
激怒したイザナミは、「あなたの国の人間を毎日1000人殺してやる」と言うと、イザナギは「それならば私は毎日1500の産屋を建てよう」と言って永遠の別れを迎えたのでした。
イザナギ・イザナミの神話についてもっと詳しく知りたい人は、下記の記事を参考にしてみて下さい。
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「鬼滅の刃」の鬼舞辻無惨の元ネタがイザナミの理由を解説!
それでは、なぜ鬼舞辻無惨の元ネタが「古事記」の神話に登場するイザナミだと言えるのか?
その理由について解説していきます。
多くの神々や鬼を生み出したイザナミ:多くの鬼を生み出した鬼舞辻無惨
ご紹介したように、イザナミとイザナギは多くの神々を生み出した存在であり、イザナミを死に追いやった火の神・カグツチも生み出しました。
一方、鬼舞辻無惨は鬼の始まりとされ、十二鬼月をはじめ多くの鬼を生み出してきました。
このように、神と鬼という対極の存在を生み出した違いはありますが、創造者という意味では共通した存在と言えるのではないでしょうか。
鬼舞辻無惨と産屋敷の関係性がイザナミとイザナギ
鬼殺隊のお館様である産屋敷は、いわば鬼殺隊の隊員を生み出している存在ともいえます。
当主だった産屋敷耀哉は、鬼殺隊員のことを「子供たち」と呼んでおり、これは産屋敷をイザナミの夫・イザナギと見立てればそのように呼ぶこともうなずけます。
それに、鬼舞辻無惨と鬼殺隊のお館様の産屋敷はもともとは同じ一族であり、鬼舞辻無惨をイザナミとするならば、産屋敷はイザナギとして考えることができますよね。
また、黄泉の国でイザナミと最後に交わしたイザナギの言葉「それならば私は毎日1500の産屋を建てよう」という表現からも、産屋敷の名前の由来はここからきていると見て取れます。
黄泉の国の鬼よけはつる草:「鬼滅の刃」の鬼よけの藤の花はつる性の花
黄泉の国で醜い姿になったイザナミは、逃げるイザナギにヨモツシコメという鬼のような化け物に追わせます。
その時、追ってくるヨモツシコメの注意を引くためにつる草を投げて時間を稼ぎます。
「鬼滅の刃」に出てくる鬼は藤の花に弱いため、鬼よけとしてつる性の藤の花を使っています。
黄泉の国の鬼のようなヨモツシコメに投げたつる草と、「鬼滅の刃」の鬼よけとして使われるつる性の藤の花が関係があるように思えます。
間接的ではありますが、鬼舞辻無惨がイザナミであるということが連想できますよね。
イザナミ・鬼舞辻無惨を倒すのはカグツチ・竈門炭治郎?今後の「鬼滅の刃」を考察!
これまで鬼舞辻無惨は『古事記』の神話に登場するイザナミで、鬼殺隊のお館様の産屋敷はイザナギだとお伝えしてきました。
このように「鬼滅の刃」を「古事記」の神話になぞらえて考えると、主人公の竈門炭治郎は火の神・カグツチと捉えることができます。
炭治郎はヒノカミ神楽を使いますし、火の神カグツチは竈神でもあることからも連想されますよね。
「古事記」の神話では、イザナミは火の神カグツチによって死に至ります。
そしてそれは、カグツチによるやけどが原因であったわけです。
このことから言えるのは、やけどのような痣をもった炭治郎(火の神カグツチ)が、鬼舞辻無惨(イザナミ)を死に追いやるということ。
炭治郎が火の神カグツチとする考察については、下記の記事で詳しく書いていますので、こちらも併せて読んでみて下さい。
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古事記のイザナギ・イザナミのかわいそうな子供カグツチを解説!鬼滅の刃ヒノカミ神楽との関係も
日本最古の歴史書『古事記』の物語に登場するイザナギ(男神)とイザナミ(女神)は、日本の国土を創造し、そこに住む神様を産み出した夫婦の神様です。 次々と子供となる神様を産み、火の神「カグツチ」(漢字表記 ...
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ちなみに、鬼舞辻無惨が最後に赤ちゃんの姿になった理由についても神話と関係していると考えられるのですが、それについては下記の記事でご紹介していますので、こちらをご覧ください。
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【鬼滅の刃】鬼舞辻無惨が赤ちゃんの姿になったのはなぜ?神話から理由を考察!
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今後どのようにして鬼舞辻無惨を倒すのか注目されるところですが、「古事記」の神話と照らし合わせながら読むと、また一味違う楽しみ方が出来ると思います。
こうした「鬼滅の刃」と「古事記」の日本神話にまつわる記事も書いていますので、興味を持った人はぜひ読んでみて下さい。
↓鬼滅の刃と日本神話との関係についてはコチラ↓
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