古事記・日本書紀

猿田彦珈琲の由来である猿田彦って誰?実は天狗の起源とされるみちひらきの神様だった

2020年2月4日

ここ数年、東京都内を中心に続々と店舗展開をしている猿田彦珈琲。

珈琲店としては珍しい名前なので、「猿田彦って誰?」と思った人もいると思います。

この記事では、そんな猿田彦珈琲の店の名前にもなっている「猿田彦」を『古事記』の日本神話から解説しています。

 

恵比寿に本店がある猿田彦珈琲とは?

特徴的な名前なので、一度は聞いたことがあるという人も多いでしょう。

平成23年(2011年)に「たった一杯で幸せになるコーヒー屋」をスローガンに東京の恵比寿にオープンし、現在は行列ができるほどの人気のコーヒー店です。

ここ数年で東京都内を中心に飛躍的に店舗展開をしており、メディアや業界関係者の間で高い評価を得ています。

 

猿田彦珈琲の概要・店舗

  • 創業:平成23年5月 
  • 代表者:代表取締役  大塚朝之
  • 恵比寿本店所在地:東京都渋谷区恵比寿1-6-6
  • 店舗
    ・恵比寿本店
    ・別館 豆館
    ・アトレ恵比寿 ウエストサイドストア
    ・猿田彦珈琲とティキタカアイスクリームのお店
    ・神谷町オレンジ店
    ・池袋店
    ・アトレ秋葉原1店
    ・アトリエ仙川
    ・調布焙煎ホール
    ・立川高島屋S.C.店
    ・武蔵小杉店
    ・下北沢店
    ・武蔵小山店
    ・誠品生活日本橋店
    ・<台湾>3店舗

缶コーヒーの「ジョージア 香るシリーズ」の監修を手掛けている

缶コーヒーの代表とも言えるジョージアのボトル缶タイプ「ジョージア 香るシリーズ」の監修を手掛けています。

以前は「ジョージア ヨーロピアン」として展開しており、このシリーズの時に猿田彦珈琲の名前を知ったという人も多いのではないでしょうか。

ジョージアのWebサイト

 

 

猿田彦珈琲の創業者ではない「猿田彦(さるたひこ)」って誰?:実は天狗の起源とされる日本神話の神様

猿田彦珈琲という名前は、珈琲店としては特徴的なので「猿田彦(さるたひこ)」って誰?創業者の名前なのかな?と思った人もいるかもしれませんが、創業者は代表取締役の大塚朝之氏なので違います。

実は「猿田彦」とは日本神話に登場する神様の名前で、天狗の起源とも言われている神様です。
※神話では「猿田毘古神」とも表記されますが、ここでは便宜上「猿田彦」としています。

この「猿田彦」の姿は、日本最古の正史(国家の正式な歴史書)の『日本書紀』にも記されており、鼻の長さは七咫(ななあた)、身長は七尺(ななさか)、目が八咫鏡(やたのかがみ)のように大きく、ホオズキのように輝いていたとされています。
これを換算すると、猿田彦の姿は、鼻の長さ約160cm、身長約210cm、目の大きさ直径約46cmで赤く光っている、という異形の大男だということになります。

この異様な鼻の長さと姿から、天狗の起源は猿田彦であろうと言われています。

 

 

店の名前の由来でもある「猿田彦」が、なぜ「みちひらきの神様」なのか理由を『古事記』の日本神話から解説!

さて、猿田彦珈琲のオンランショップでは「みちひらきブレンドドリップバッグ」という商品を販売しています。

わたしたち猿田彦珈琲は『みちひらき』の神様、猿田彦大神からお名前を拝受しています。
そのご縁から、伊勢に本社がある猿田彦神社様の婚礼の引き出物としてコーヒーをご用意させていただいています。
『みちひらきブレンドドリップバッグ』
物事の最初にあらわれ、万事最も良い方向へお導きになる神様から
お名前を拝受したとても縁起の良いコーヒーです。
今回、猿田彦神社様のご厚意により、こちらでもご提供させていただくことになりました。

引用:猿田彦珈琲オンラインショップより

それでは猿田彦がなぜ「みちひらきの神様」と言われるのか、日本最古の歴史書『古事記』に書かれている日本神話の「天孫降臨」から簡単に解説していきます。

猿田彦が登場する日本神話「天孫降臨」を簡単に解説

日本の最高位の神様であり、天皇のご先祖とされる天照大御神(アマテラスオオミカミ)が、地上世界を治める為に孫である邇邇芸命(ニニギノミコト:以後ニニギ)を派遣します。

ニニギが天上世界の高天原(たかまがはら)から地上世界へと向かう途中、天之八衢(あめのやちまた)という入り組んだ場所まで来ると、地上世界の方から光を照らす不審な者がいました。

不審に思い、同行していた天宇受売命(アメノウズメノミコト:以後アメノウズメノ)という女神に、「あそこにいる者が何者か行って名前を聞いてきなさい」と命じました。

アメノウズメがその不審な者に名前を尋ねると、「私は国津神(くにつかみ:地上世界の神)の猿田彦です。天津神(あまつかみ:天上世界の神)のニニギ様が天降りされると聞き、先導役となろうと思いやってきました」と言いました。

それを聞いたニニギは、猿田彦に地上世界までの道案内役をしてもらい、無事に地上世界へと天降りすることができたのです。

このように、照大御神のであるニニギが地上世界へ降臨したのことを天孫降臨と呼びます。

そしてこの天孫降臨以降、ニニギの子孫が地上世界で繁栄し、やがて初代・神武天皇の誕生へと神話の物語は続いていくのです。

天下り(あまくだり)の語源

退職後に官僚が民間の企業の高級ポストに就任したり、親会社から子会社へ就任することを「天下り」と批判的に使われますが、実はこの日本神話でニニギが地上世界へ「天降り」したことが語源となっています。

 

猿田彦が「みちひらきの神様」と言われる理由とアメノウズメとの関係を解説

ご紹介したように、猿田彦は日本神話「天孫降臨」でニニギの天降りの先導役を務め導いたことから「道を拓く神様」つまり「みちひらきの神様」と言われるのです。

なお、ニニギは無事に地上世界までたどり着くと、アメノウズメに向かって「先導役を務めた猿田彦を、元々居た伊勢まで送ってあげなさい」と言い、猿田彦とアメノウズメを見送りました。

『古事記』に書かれているわけではありませんが、伊勢に向かう途中でロマンスがあったのでしょうか、猿田彦とアメノウズメは結婚して夫婦になったとされています。

なお、猿田彦の嫁とされるアメノウズメについては下記の記事で詳しく書いていますので、天狗の起源と言われる神様を愛した女神について興味のある人は、ぜひ読んでみて下さい。

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猿田彦は「鬼滅の刃」の育手・鱗滝左近次のモデル?

猿田彦珈琲の由来でもあり、『古事記』の神話「天孫降臨」で登場した猿田彦については簡単にまとめると、

  • 天狗の起源・・・鼻が長く赤い顔をしていたから。
  • みちひらきの神様・・・日本神話「天孫降臨」で先導役を務めたから。
  • アメノウズメを嫁にした。

と、上記のように要約できますね。

ところで、猿田彦を特徴づける「天狗」「みちひらき」というキーワードは、「鬼滅の刃」で主人公の竈門 炭治郎の師匠・鱗滝左近次に通じるところがありますよね。

天狗の面を被り、鬼殺隊員を育てる=「みちひらき」と捉えると、もしかしたら鱗滝左近次は猿田彦をモデルにしているのではないか?と考えられます。

このように考えるのは、実は「鬼滅の刃」が日本神話から大きな影響を受けているのではないか?ということがいくつもあるからです。

例えば、猿田彦の嫁のアメノウズメは、とある柱のモチーフになっている可能性があったり、鱗滝左近次の弟子の錆兎と真菰も神話「因幡の白兎」と関係があります。

これらについては下記の記事で、その理由を書いていますので、気になった人はぜひ読んでみて下さい。

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ただ、これら「鬼滅の刃」と日本神話の関係は、あくまでも筆者の考察に過ぎませんが、日本神話を知っていると違った切り口で「鬼滅の刃」を味わうことができます。

少しでも日本神話に興味が湧いてきたら、猿田彦珈琲でコーヒーを飲みながら、日本神話が書かれた『古事記』を読んでみるのもいいかもしれませんよ。

   

なお、『古事記』に書かれている日本神話をサラッとあらすじだけ知りたい方は、大まかな内容を下記の記事でまとめていますので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

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