天皇記

美人の額田王をめぐる天智天皇と天武天皇との三角関係が壬申の乱の原因?万葉集の和歌についても

2020年3月10日

天智天皇と天武天皇の二人の兄弟は、一人の美しい女性をめぐり次第に仲が悪くなります。

そしてそれが引き金となり、やがては古代における最大の内乱を引き起こすことになります。

この記事では、そんな二人の天皇に愛された額田王(ぬかたのおおきみ)について書いています。

絶世の美人で万葉集に和歌を残した額田王(ぬかたのおおきみ)とはどんな人物か解説!

額田王(ぬかたのおおきみ)とは絶世の美人と言われた飛鳥時代の謎多き女性

額田王(ぬかたのおおきみ)は男性のような名前ですが、絶世の美人と言われた女性です。

生没年は不明ですが、鏡王(かがみのおおきみ)を父親にもつと言われています。ただ、この鏡王の事もよくわかっておらず、一説には父親ではなく姉だとする見方もあります。

日本最古正式な歴史書である「日本書紀」には、天武天皇の妃として十市皇女(とおちのひめみこ)を生んだという記述があります。

 

万葉集に数々の和歌を残した飛鳥時代を代表する歌人

額田王は飛鳥時代を代表する歌人でもあり、最古の和歌集である「万葉集」には額田王が作った和歌が長歌3首・短歌10首掲載されています。

そしてその和歌のひとつが、天智天皇と天武天皇との三角関係にあったのではないかと噂されるネタになりました。

 

 

額田王をめぐる天智天皇・天武天皇(大海人皇子)との恋愛の三角関係が壬申の乱の原因だった?

天智天皇・天武天皇・額田王の三角関係と家系図

兄・天智天皇が強引に弟・天武天皇の妻の額田王を奪った?

額田王は若くして天武天皇の妻となり、その後に天武天皇の兄の天智天皇の妻となったと言われています。

天武天皇との間に十市皇女を生んだ時は、まだ天皇に即位する前の大海人皇子(おおあまのみこ)の頃で、一説には「添臥(そいぶし)」という、元服した皇子など身分の高い男子と添い寝する役目の女性であったともいわれています。

兄の天智天皇は額田王の美貌に心を奪われ、天武天皇から額田王を貰い受ける(奪う)為に、かわりとして娘である鸕野讚良(うののさらら:後の持統天皇)など自分の娘を次々に妻にやったそうです。

天武天皇との恋愛関係は続いていた?万葉集の「あかねさす~」の和歌からみえてくる感情

額田王は天武天皇の妻からその兄の天智天皇の妻になったわけですが、実はその後も天武天皇と密かに恋愛関係にあり、二人の天皇との三角関係が続いていたようです。

この二人の天皇との三角関係が噂されるもとになったのが、先程少しお話したとある和歌の内容です。

 

あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る
あかねさす むらさきのゆき しめのゆき のもりはみずや きみがそでふる

紫草の生える野を行き、御料地を行くあなた。
野の番人が見ているかもしれないのに、そんなに袖を振らないで下さい。
(見つかったらどうするの?)

 

この和歌は、天智天皇が天武天皇をはじめ多くの家臣とともに蒲生野に薬狩りに行った時に詠まれた歌です。

わかりやすく現代風にすると「旦那(野の番人:天智天皇)が見ているかもしれないのに、手を振ってアピールしないでよ。もう、見つかったらどうするのよ!(照れる)」という感じの内容です。

バレたら困ると言いながらも秘密の関係にときめいている様子を詠んだ和歌、ということなんですね。

この和歌に対して、天武天皇は次のような和歌を詠んで返事をしています。

 

紫草の にほへる妹を 憎くあらば 人妻ゆえに われ恋ひめやも
むらさきの にほへるいもを にくくあらば ひとづまゆえに われこいひめやも

紫草の花のように美しいあなたを憎らしく思うことがあるだろうか。
人妻でありながらこれほど恋しく思うのは、あなたを嫌いになれないからです。
(今でも恋しいです)

 

言い換えると「別れてから、あなたはもう他の人の妻となっているけど、今でも愛しているよ」という意味の和歌ですね。

こうした和歌のやりとりから、額田王は天智天皇の妻となっているものの、実はまだ天武天皇と恋愛関係が続いていて、二人の天皇との三角関係にあったのではないか?とみてとることができます。

天智天皇や他の家臣もいる前で、こんな熱い歌を詠み合うなんて・・・恋は盲目ということでしょうか(笑)

 

額田王をめぐる恋愛のもつれが原因で「壬申の乱」が起こった?

万葉集にも載っている「あかねさす~」の和歌から、額田王と天智天皇・天武天皇兄弟は三角関係にあり、その事によって二人の天皇の仲は悪くなったという噂があります。

それにより、本来は天武天皇が後継者となるはずだったものを、天智天皇がそれを拒絶して息子の大友皇子を後継者にしてしまったことで後継者争いが起こり、それがやがて「壬申の乱」へと発展してしまった、という見方もあります。

「壬申の乱」は、古代の日本における最大級の内乱と呼ばれており、もしそれが本当なら額田王はなんと罪な女性だったのでしょうか。

この額田王と二人の天皇にまつわる恋愛物語は、1976年に宝塚の「あかねさす紫の花」という演目で度々再演もされています。

ほかにもこの恋愛物語を題材にした小説や漫画なども多数あり、多くの人を惹きつけてやまないエピソードなんですね。

このように、額田王をめぐって二人の天皇が対立し、やがてそれが大規模な争いにまで発展した、というような壮大なラブロマンスとして語られることが多いようですが、実態はそうではなかったようです。

「あかねさす~」の和歌のやりとりも、宴会の席での余興であったという意見が強く、現代でいえば飲み会で「昔私達付き合ってたよね」と昔を懐かしむようなものだったのかもしれません。

ただ、古代の実在した天皇が一人の女性をめぐって国を巻きこんだ争いを起こした、として捉えたほうがすごく興味がわきますよね。

そんな三角関係のもつれから発展した壮大なスケールの「壬申の乱」については下記の記事で紹介しています。

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