天皇陛下が即位され、それに伴う一連の儀式がすべて執り行われました。
そのなかで天皇の先祖の神様として、天照大御神(アマテラスオオミカミ)の名前は度々登場していましたね。
さて、その天皇の先祖の神様・天照大御神とはどんな神様なのか、家系図や日本の神話をもとに簡単にわかりやすく解説します。
天照大御神とは?日本の神話をもとに簡単に解説
天照大御神とはどんな神様なのかについては、日本最古の歴史書『古事記』の神話で知ることができます。
そこで、この『古事記』の神話から天照大御神について簡単に解説します。
親からも称賛され、日本を治めることになった女性の最高神!
『古事記』の神話では、日本の国土を創造した神様・伊邪那岐神(イザナギノカミ)が禊(みそぎ)をしていて、左目を洗った時に生まれたのが天照大御神です。
伊邪那岐神は他にも数多くの神様を生み出してきましたが、その中でも特に貴い神様だと天照大御神を称えます。
そして、天照大御神に天上世界の「高天原(たかまがはら)」を治めよと命じます。
高天原は神々の住む天上世界だけでなく、人々の住む地上世界も含まれてるとされています。
つまり、日本の生みの親である伊邪那岐神の命によって、天照大御神は生まれながらにして日本を治める最高神だったのです。
太陽を司る神様!天照大御神の尊さがわかる「天岩戸」神話
天照大御神は、弟にあたる須佐之男命(スサノオノミコト)の乱暴な行動に嫌気がさし、天岩戸(あまのいわと)を閉めて洞窟に隠れてします。
すると、天照大御神が隠れてしまったことで、世界が暗闇につつまれてしまいました。
困った神々は、知恵の神様・思金神(オモイカネノカミ)に相談します。
思金神は、天岩戸の前で祭りをして天照大御神の気を引き、天岩戸から顔を出した隙きに引きずり出そうという作戦を考えました。
祭りが始まると、気になった天照大御神は天岩戸から外をのぞきます。
そこで鏡を使って天照大御神を映しながら「あなたのような尊い神様が現れたので、祭りをしているのですよ」と言うと、自分以外に同じような神様がいると勘違いし、驚いて天岩戸から身を乗り出しました。
すかさず天照大御神引きずりだし、天岩戸にしめ縄をすると、ようやく世界は元のとおり光が戻ったのです。
この祭りの時に使われた鏡こそ、三種の神器の八咫鏡(やたのかがみ)で、同じく三種の神器の八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)が飾りとして使われました。
この「天岩戸」の神話からもわかるように、天照大御神は太陽を司る神様であることがわかります。
稲作中心の日本においは、太陽の恵みは欠かすことができません。
その太陽を司る神様・天照大御神がいかに尊い神様であるかが象徴される神話です。
日本を治める最高神の証!出雲大社の神様・大国主命との「国譲り」神話
出雲大社に祀られる神様・大国主命によって地上世界の国造りは完成しますが、伊邪那岐神の言葉にもあるように、地上世界も天照大御神が治めることになっていました。
そこで、大国主命に地上世界の国を譲るように、使者を送って説得しに向かわせます。
しかし、送った使者はことごとく大国主命に懐柔されてしまい失敗に終わります。
ここで、最後の使者として建御雷神(タケミカズチノカミ)を向かわせます。
この建御雷神の活躍により、ようやく大国主命は天照大御神に国を譲ることを了承しました。
こうして、大国主命が完成させた地上世界の国を譲り受けたことで、天照大御神が正真正銘の日本の統治者であることが示されました。
その後、天照大御神は孫にあたる邇邇芸命(ニニギノミコト)を地上世界に送り、その子孫が初代・神武天皇となるのです。
天照大御神が天皇の先祖であることを神話と家系図から解説
天照大御神が天皇の先祖であることは、日本の歴史書『古事記』や『日本書紀』の神話に記されています。
その天照大御神から初代・神武天皇にいたる神話を、上図の家系図とともに簡単に解説します。
子供ではなく孫を地上世界の統治に向かわせる「天孫降臨」神話
大国主命との「国譲り」神話で天照大御神が地上世界も治めることが示され、息子の天忍穂耳命(アメノオシホミミノミコト)に統治するように命じます。
ところが、天忍穂耳命は「息子が生まれたので、その息子に行かせましょう」と言い、天照大御神の孫にあたる邇邇芸命(ニニギノミコト)にその任務を託します。
こうして天照大御神の孫の邇邇芸命が、地上世界を統治する為に天上世界の高天原から降臨したので天孫降臨と言います。
この時、天照大御神は孫の邇邇芸命に三種の神器を持たせました。これが現在の皇室にも伝わる三種の神器です。
天照大御神の孫・邇邇芸命と木花佐久夜毘売との神話
地上世界に降臨した天照大御神の孫・邇邇芸命は、美しい木花佐久夜毘売に一目惚れしてすぐにプロポーズします。
それを喜んだ父であり山の神である大山津見神(オオヤマツミノカミ)は、姉の石長比売(イワナガヒメ)も嫁がせます。
しかし、姉の石長比売は醜い顔だったので、邇邇芸命は石長比売を実家へと送り返してしまいます。
それを悲しんだ父・大山津見神は、「石長比売を嫁がせたのは、あなたの命が岩のように動かないものにするためだったのに」と嘆き、このことが原因となって邇邇芸命は寿命ができました。
これが天皇が神様の子孫であっても、寿命のある人間へとかわった根拠と言われています。
木花佐久夜毘売は、邇邇芸命と結婚するとすぐ懐妊します。
ところが、邇邇芸命はすぐに懐妊した木花佐久夜毘売を怪しみ、「自分の子供ではないのではないか?」と疑います。
その言葉を聞いた木花佐久夜毘売は、自身の潔白を証明する為、「もし燃え盛る炎の中で無事に生まれたら、それはあなたの子供です」と言い、燃え盛る炎の中で出産しました。
そして、無事に三人の息子を生み、自らの身の潔白を証明したのです。
こうして生まれた息子が、火照命(ホデリノミコト)と火遠理命(ホオリノミコト)で、それぞれ「海幸彦」「山幸彦」と呼ばれました。
山幸彦と海の神の娘・豊玉毘売の結婚と、初代・神武天皇誕生までの神話
兄・海幸彦とのケンカがきっかけで、山幸彦は海の世界へと向かいます。
そこで、海の神・綿津見神(ワタツミノカミ)の娘の豊玉毘売(トヨタマビメ)と恋に落ち、そのまま結婚することになりました。
山幸彦は海の世界から戻りますが、ある日豊玉毘売がやってきて懐妊したことを告げます。
そして、「出産の時は、自分の体が元々住んでいる世界の形になってしまうので、決して見ないで下さい」と念をおします。
ところが、気になってしまった山幸彦は、豊玉毘売が出産しているところをこっそり覗いてしまいます。
すると、そこにいたのは大きなサメでした。
姿を見られたことを恥じた豊玉毘売は、妹の玉依毘売(タマヨリビメ)に生んだ子を託して海の世界へと帰っていきました。
この時、出産の為に、鵜(う)の羽で屋根を葺いた小屋が、まだ葺き終わらないうちに生まれたので、その子の名を鵜葺草葺不合命(ウカヤフキアエズノミコト)と言います。
その後、鵜葺草葺不合命がおばにあたる玉依毘売と結婚し、その間に生まれたのが初代・神武天皇こと神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレビコノミコト)です。
こうして、地上世界に降臨した天照大御神の孫・邇邇芸命から初代・神武天皇までの系譜が神話で語られ、現在の天皇陛下へとつながっているのです。
天照大御神の弟は須佐之男命!家族は有名な神様ばかり
天照大御神は天皇の先祖であることは、『古事記』や『日本書紀』の神話で記されているとご紹介しました。
この日本の神話では、主役となる天照大御神の家族についても記されています。
代表的なのが、頭と尾が8つある怪物・ヤマタノオロチを退治した弟の須佐之男命(スサノオノミコト)です。
また、天照大御神の生みの親は、高度経済成長時代の「イザナギ景気」でもその名を知られる伊邪那岐神(イザナギノカミ)です。
上記の家系図でも示したこれらの神様は天照大御神の家族で、それぞれがどんな神様なのかは神話の中で描かれています。
下記の記事で、これらの神様の神話の内容や天照大御神との関係性を書いていますので、併せて読んでもらえると嬉しいです。
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さて、これらの神様は、アニメやゲームのキャラクター名としても登場することも多いので、「名前だけは知っている」という人も多いと思います。
ですが、はたしてどんな神様なのか?そして、その神様にまつわる神話とはどんな内容なのか?もっと詳しく知りたいと思う人もいるかと思います。
日本の神様をまとめた本と、日本の神話『古事記』や『日本書紀』の内容が書かれた本をご紹介しますので、興味のある方はぜひ読んでみて下さい。