天照大御神(アマテラスオオミカミ:以後アマテラス)が引きこもってしまった「天岩戸(あまのいわと)」神話はよく知られていますが、なぜ引きこもってしまったのか?という理由については意外と知らない人が多いかもしれません。
実は弟である須佐之男命(スサノオノミコト:以後スサノオ)の暴走行為が大きく関わっており、この記事ではそのスサノオのあまりにひどい暴走行為について解説していきます。
目次
アマテラスとスサノオの関係を日本神話から簡単に解説!
冒頭でもお伝えしたとおり、アマテラスとスサノオは伊邪那岐神(イザナギノカミ:以後イザナギ)という男神から生まれた兄妹の神様です。
イザナギが黄泉の国から帰ってきた際に、穢(けがれ)を払う為に禊(みそぎ)をしていると、左目からアマテラスが生まれ、鼻からスサノオが生まれました。
生まれた後、アマテラスとスサノオは別々の世界にいましたが、スサノオが天上世界の高天原(たかまがはら)のアマテラスの元へ行きました。
しかし、再会したアマテラスとスサノオは喧嘩となり、「お互いに子供を生む」という対決をすることになりました。
その「お互いに子供を生む」対決で勝利(?)したスサノオは、勝ち誇って調子にのり始めたのです。
かいつまんで解説しましたが、これについては下記の記事で詳しく書いていますので、「お互いに子供を生む」対決など気になる人はぜひ読んでみて下さい。
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アマテラスの有名な天岩戸神話のあらすじを簡単に解説!
高度経済成長時代に使われた「岩戸景気」という呼び名の元にもなっている「天岩戸」神話。
この「天岩戸」神話についてあらすじを簡単に解説します。
太陽を司る神であるアマテラスが天岩戸に隠れてしまったことで、世界が闇に包まれてしまい、様々な災害が起こってしまいました。
困り果てた神々は、天岩戸の前で神楽を舞うなどの祭りをして、アマテラスの気を引こうと考えました。
そして、外の様子が気になって顔を出したアマテラスを連れ出すと、元通りの光のある世界に戻ったという内容の神話です。
この「天岩戸」神話についての内容は、下記の記事で書いていますので、もう少し詳しく知りたいと思った人はそちらを参考にしてみて下さい。
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アマテラスが天岩戸に隠れた理由:スサノオのひどい暴走行為を解説!
さて「天岩戸」神話でアマテラスが隠れてしまった理由を先に言ってしまうと、弟であるスサノオのひどい暴走行為に嫌気が差し心を痛めた為です。
このことについては意外と知らない人もいるかもしれません。
また、スサノオが原因だということは知っていても、どれほどひどい暴走行為をしていたか、ということについてはあまり知られていないのではないでしょうか。
では、そのスサノオのあまりにもひどい暴走行為について解説していきます。
スサノオのひどい暴走行為1.田を破壊し、御殿に糞をする
アマテラスとの兄妹喧嘩に勝ったと言って勝ち誇ったスサノオは、高天原でやりたい放題に暴れまわります。
スサノオは、アマテラスが大事にしていた田んぼの畦(あぜ)を壊し溝を埋めて、その田んぼをことごとく荒らしまわったり、新嘗祭(にいなめさい)の時に使用する神聖な御殿に糞をするなど、とんでもなくひどい行動ばかりするようになります。
新嘗祭
新嘗祭は、その年の収穫を感謝する儀式で、現在も天皇陛下が11月の勤労感謝の日にこの儀式を行っています。
なお、新しい天皇陛下が即位後初めて行う新嘗祭のことを大嘗祭(だいじょうさい)といいます。
神話の時代から現代にも続く大事な儀式ですね。
しかし、このスサノオのひどい暴走行為に対してアマテラスは「糞をまいたというのは酔っていたからでしょう。田んぼを壊したのは、その土地を田んぼにしておくのは惜しいと思ったからでしょう」と、スサノオをかばうように言いました。
この発言からも、強く言えない控えめなアマテラスの性格がでているようにみえます。
他の神話から考察したアマテラスとスサノオの性格について、下記の記事で触れていますので、参考にしてみて下さい。
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スサノオのひどい暴走行為2.機織り女性を死に追いやる
スサノオの暴走行為はまだまだ止まりません。
ある日、機織りをしている小屋の近くを通ると、その小屋の屋根に穴をあけ、なんと全身の皮をはいだ馬をその穴から投げ込みました。
そしてその小屋で機織りをしていた女性は、驚きのあまり転んでしまい、そのひょうしに機織りで使う道具が陰部に突き刺さってしまいます。
かわいそうなことに、そこで機織りをしていた女性は、その怪我がもとで死んでしまいました。
アマテラスが天岩戸に隠れた理由は、スサノオのひどい暴走行為に嫌気が差したこと
最初はスサノオの暴走行為にも我慢していたアマテラスですが、さすがに我慢の限界がきました。
あまりにもひどいスサノオの行動に嫌気が差し、心を痛めてしまったアマテラスは、このことが理由で天岩戸に隠れてしまったのです。
ただ、この時アマテラスはスサノオに対してキツく叱るような発言をしていません。
こういったところからも、アマテラスがどんな性格の神様なのかがわかる気がします。
実は残虐で怖い日本神話の神様
さて、アマテラスが天岩戸に隠れてしまった最大の理由である、スサノオの暴走行為についてご紹介しましたが、とんでもなくひどいことをしていますよね。
しかし実は日本神話の神様は、スサノオ以外にもけっこう残虐でひどいことをしています。
その一例として、スサノオの父であるイザナギは、アマテラスやスサノオ達を生み出す前に、実の子供である神様を首をはねて殺しています。
このことについては下記の記事で詳しく書いていますので、気になった人はぜひ読んでみて下さい。
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このように、「天岩戸」神話の一節だけではわからない、実は怖い『古事記』の日本神話。
一通り続けて読むと、その怖さを知ることができますよ。