日本の最高神とされる天照大御神(アマテラスオオミカミ:以後アマテラス)と日本の創造神・伊邪那岐神(イザナギノカミ:以後イザナギ)は、日本の神話においてとても深い関係にあります。
この記事では、そのアマテラスとイザナギの関係を、日本最古の歴史書『古事記』の神話に基づいて解説しています。
目次
イザナギとアマテラスの関係を家系図から簡単に解説!
上の系図からわかるとおり、アマテラスはイザナギの子供です。
イザナギにはイザナミという妻がいましたが、アマテラスが誕生する前に別れています。
つまり、アマテラスはイザナギ・イザナミの夫婦の間にできた子供ではなく、イザナギが単独で生み出した子供なのです。
この関係性は『古事記』での記述で、一般的にはこの「アマテラス=イザナギ単独の子供」という関係性が定着しています。
ただ、日本の正史(国家の正式な歴史書)である『日本書紀』によれば、アマテラスはイザナギとイザナミの夫婦の間に生まれた子供、という記述になっています。
このように『古事記』と『日本書紀』では内容が異なる点が多々あります。
これらの違いについては、下記の記事でまとめましたので、併せて参考にしてみて下さい。
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アマテラスが誕生する前のイザナギ・イザナミの神話を簡単に解説!
さて、先程も少し触れましたが、イザナギには妻のイザナミがいましたが、アマテラスが誕生する前に別れています。
なぜ別れてしまったのか?実はこの別れこそがアマテラスの誕生に大きく関わっています。
それでは別れてしまうまでのイザナギ・イザナミ夫婦の神話について簡単に解説していきましょう。
イザナギ・イザナミ夫婦による「国生み」「神産み」神話
世界がまだ混沌としていた頃、次々と神々が誕生している時、イザナギ・イザナミも夫婦として誕生します。
この時はまだ日本の国そのものも存在しておらず、先に誕生していた神々の総意によってイザナギ・イザナミが日本を作り上げるように命じられました。
イザナギ・イザナミはそれに従い、まずは日本の国土となる島を生み出すことにします。
これが「国生み」神話です。詳細は下記の記事にまとめましたので、こちらを御覧ください。
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一通り日本の国土となる島を産み終えると、今度はそこに住む神々を産むことにします。
これが「神産み」神話です。これについても詳細は下記の記事を御覧ください。
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アマテラス誕生のきっかけ:イザナギ・イザナミの別れ「黄泉の国」神話
順調に神々を生み出していたイザナミですが、火の神「カグツチ」を産んだ際にヤケドを負ってしまいます。
そしてそれがもとでイザナミは死んでしまい、「黄泉の国」へと行ってしまいました。
イザナミの後を追いかけてイザナギも「黄泉の国」へと向かいましたが、そこで思いも寄らない事態がおこります。
その為、結局最後はイザナギとイザナミは「黄泉の国」で永遠の別れを告げたのです。
この「黄泉の国」神話についても、別の記事でまとめていますので、併せてそちらも読んでみて下さい。
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なお、イザナギがこの「黄泉の国」へ行ったことがきっかけとなって日本の最高神・アマテラスが誕生することになります。
イザナギが黄泉の国の穢れを払った禊:アマテラスの意外な生まれ方について解説!
それでは、イザナギがイザナミと別れ「黄泉の国」から戻ってアマテラスを生み出すまでのことについて解説していきましょう。
イザナギの禊で左目から生まれたアマテラス
イザナギは「黄泉の国」へ行ったことを「見るも恐ろしい、なんて穢れた所へ行ってしまったんだろうか!禊(みそぎ)をして身を清めなければ!」と嘆き、穢れを払う為に禊をすることにしました。
禊の為に着ていた衣服を脱ぐと、その脱いだ衣服や帯などから次々と神々が誕生します。
池の中に入り禊をしていて体を清めていると、そこからも神々が誕生しました。
イザナギは体を一通り清めたのち、最後に顔をすすぐことにします。
そしてイザナギが左目を洗うと、そこから生まれた神こそアマテラスだったのです。
右目からツクヨミ、鼻からスサノオが誕生:他にも重要な神様が誕生していた
同じようにして、イザナギが右目を洗うと月読命(ツクヨミノミコト:以後ツクヨミ)が生まれ、鼻を洗うと須佐之男命(スサノオノミコト:以後スサノオ)が生まれました。
アマテラス、ツクヨミ、スサノオを生んだイザナギは「自分は今まで多くの神を生んできたが、この3柱の神は特に貴い!」と喜びました。
イザナギが貴い神として喜んだこの3柱を「三貴子」と呼びます。
イザナギはこの三貴子に対し、アマテラスは天上世界・高天原(たかまがはら)を、ツクヨミは夜の世界・夜之食国(よるのおすくに)を、スサノオには海原を治めるように命じました。
なお、このイザナギの禊によって生まれた神は、アマテラスを始めとする三貴子を含め、合計で26柱にも及びます。
その中でも、底筒之男命(ソコツツノオノミコト)・中筒男命(ナカツツノオノミコト)・上筒之男命(ウワツツノオノミコト)の三柱は航海の神で、住吉大社に祀られる「住吉三神」と呼ばれます。
ちなみにこの住吉三神は、第14代・仲哀(ちゅうあい)天皇に「新羅(朝鮮半島)に進出せよ」と神託与えますが、それに従わなかった仲哀天皇を呪い殺してしまった、という逸話のある神です。
イザナギが黄泉の国の穢れを払った禊の場所について紹介!
イザナギが「黄泉の国」から戻り、穢を払う為の禊をしたとされる場所があります。
それは宮崎県宮崎市にある江田神社の近くにある「みそぎ池」です。
日本の最高神・アマテラスの誕生の地ですから、パワースポットとしても有名です。
近くに行かれた際は、ぜひ立ち寄ってみてください。
初詣は宮崎随一のパワースポットである江田神社。
神様のみそぎ池でパワーを頂いて下さいね。https://t.co/BatWQ0ACBW#初詣 #江田神社 #パワースポット #御朱印 pic.twitter.com/5B1JNJFKYp— 鹿児島の御朱印ボーイ (@machiarukiman1) December 27, 2019
先日、イザナミノミコトゆかりの地
宮崎の江田神社にいってきました⛩
IZANAMIリキッドの名前はこの
イザナミノミコト様から頂きました。
有名なパワースポットで
パワーをいただいてきました^ ^ pic.twitter.com/B8d8UIhf55— TAMAMI VAPER (@TamamiVape) 2018年12月18日
宮崎県はこうした日本神話にゆかりのある場所です。
日本神話を知っていると、観光で行った際にその場所がどんな伝説のある場所なのかがわかり、より一層楽しめると思います。
お出かけ前に日本神話に触れてみてはいかがでしょうか。
この記事では日本の最高神・アマテラスの誕生について簡単にご紹介しました。
そのアマテラスとはいったいどんな神様なのか?それについては下記の記事でまとめましたので、興味をもった人はこちらも読んでみて下さい。
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