イザナギ・イザナミ

イザナギとイザナミが喧嘩別れしたのはなぜ?黄泉の国神話や黄泉比良坂の桃を解説!

2019年12月30日

日本の歴史書『古事記』や『日本書紀』には、日本の誕生と神々の神話に始まり、歴代の天皇の歴史が記されています。

その神話の中で、日本の国土を創造し、そこに住む神々を生み出したのが夫婦であるイザナギ(男神)・イザナミ(女神)です。

言わば日本の創造神であるイザナギ・イザナミですが、イザナミは途中で死んで「黄泉の国」へと行ってしまいます。

この記事では、イザナミが死んで旅立ってしまった「黄泉の国」の神話について解説しています。
※『日本書紀』の本編には『黄泉の国』神話はありません。

イザナギ・イザナミが「黄泉の国」へ行く前の神話を簡単に解説!

 

最初の島・淡路島から日本の国土誕生までの「国生み」神話

夫婦であるイザナギとイザナミは、天上世界・高天原(たかまがはら)の神々の命によって、日本を創造することになりました。

地上に降り立ち、まずは国土となる島を生み出すことにしますが、最初はうまくいきませんでした。
そこで高天原の神々に相談し再び島を生みだすと、今度は立派な島が誕生します。
この時の最初に誕生した島が兵庫県の淡路島です。

その後、イザナギ・イザナミは次々と島を生み出し、日本の国土を形作ったのです。
これがイザナギ・イザナミの「国生み」神話です。

この「国生み」神話で、失敗した最初の話は実はとても怖い内容です。
これについては下記の記事で詳しく書いていますので、併せて読んでみて下さい。

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なぜイザナミが黄泉の国へ行ったのか?その原因となった「神産み」神話

日本の国土となる島を生み出したイザナギとイザナミは、今度はそこに住む神々を生み出すことにします。

「国生み」の時とは違い、今度は順調に神々を生み出すイザナギとイザナミ。
夫婦で生み出した神様は17柱で、生み出した子供の神様どうしでさらに16柱の神様が誕生しました。

しかし、ここでイザナミに思わぬ事態が起こります。
火の神・カグツチを産んだ際に、陰部にヤケドを負ってしまい瀕死の状態に陥ってしまいます。

イザナギは必死の看病を試みますが、その甲斐むなしくイザナミは死んでしまいます。
そして死んだイザナミは、死の世界「黄泉の国」へと行ってしまったのです。

このイザナギ・イザナミによる神々の誕生についてのストーリーを「神産み」神話と言います。

「神産み」神話と火の神・カグツチについては、漫画「鬼滅の刃」との関係性も含めて下記の記事で解説しています。
こちらも読んでもらえると、一層楽しみ方の幅が広がると思います。

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イザナギ・イザナミの喧嘩の原因となった「黄泉の国」での約束について解説!

イザナミが死んで「黄泉の国」へと行ってしまったことで、イザナギはとても悲しみました。

そして寂しさに耐えられずに、イザナミの後を追ってイザナギも「黄泉の国」に向かいます。
さて「黄泉の国」に行ったイザナギ・イザナミは、はたしてどうなったのか解説していきます。

また、この「黄泉の国」神話の内容は、ギリシャ神話とも似ているところがあり、その点についても簡単にご紹介します。

「黄泉の国」の住人となったイザナミとの約束

イザナミの後を追いかけたイザナギが「黄泉の国」に着くと、そこには御殿があり扉が固く閉じられていました。

イザナギが扉越しに「美しい我が妻よ、まだあなたとの国作りは終わっていない。一緒に帰ろう」とイザナミに声をかけます。
するとイザナミは、「残念ながら、私はすでにこの「黄泉の国」の食べ物を食べてしまったせいで、すでにこちらの世界の住人となってしまいました。でも、せっかくあなたが来てくれたので、元の世界に戻れるかどうか、この「黄泉の国」の神々に相談してくるので待っていて下さい。そしてその間は決して私のことを見ないで下さい」と念を押してイザナギに言いました。

イザナギはイザナミに言われた通りそのまま待っていましたが、いくら待ってもイザナミは戻って来ません。
待ちきれなくなってしまったイザナギは、イザナミとの約束を破り、扉を開けて御殿の中に入っていきました。

御殿の中は真っ暗で何も見えません。
そこでイザナギは、自分の束ねた髪に刺していた櫛の端を折り、それに火を着けて灯りをともしました。

すると、イザナギの目に飛び込んできたのは、腐敗して全身からウジがわき変わり果てた姿のイザナミでした。
さらに、頭や胸や腹など、あらゆるところから恐ろしい形相の雷神(いかづちがみ)が飛び出ていて、イザナミはまるで鬼のような姿になっていたのです。

 

ギリシャ神話にも似ている「見るな・振り返るな」のタブー

このイザナギ・イザナミの「黄泉の国」での約束は、同じようなことがギリシャ神話にも登場するので、簡単に紹介ていきます。

神の子・オルフェウスは、ヘビに噛まれて命を落とした妻・エウリュディケを連れ戻す為、冥界に向かいます。
冥界の王・ハーデスはオルフェウスの願いを聞き入れますが、ひとつ条件を出します。
その条件とは、地上に戻るまで決して振り返ってエウリュディケの姿を見てはいけない、というものでした。

その条件をのんで、オルフェウスはエウリュディケを連れて地上へと戻ろうとします。
ところが、エウリュディケはオルフェウスの後ろを歩いているので、本当についてきているのかわかりません。
不安にかられたオルフェウスは、地上まで後少しというところまできて振り返ってしまいます。
すると、その瞬間にエウリュディケは冥界へと吸い込まれてしまったのです。

このように「見るな・振り返るな」のタブーは、ここで紹介したギリシャ神話以外にも見受けられます。

日本の神話を知るとともに、他の国の神話と比較してみるのもいいかもしれません。

 

イザナギ・イザナミの最後の別れの地・黄泉比良坂(よもつひらさか)について解説!

「黄泉の国」で変わり果てた姿のイザナミの姿を見たイザナギのとった行動と、この夫婦の結末はどうなったのかを解説していきます。

 

鬼となったイザナミから逃げるイザナギ:葡萄(ぶどう)や筍(たけのこ)に救われる!?

まるで鬼のような姿のイザナミを見たイザナギは、恐怖と驚きのあまり逃げ出してしまいます。

自分の醜い姿を見られたイザナミは、「よくも私に恥をかかせたな!」と、約束を破り逃げ出したイザナギに対して激しい怒りにかられ、予母都志許売(よもつしこめ)という鬼女に後を追わせました。

イザナギは追ってくる予母都志許売から必死で逃げます。
しかし、だんだんと距離が縮まり追いつかれそうになったので、少しでも抵抗しようと、持っていたつる草を予母都志許売に向かって投げつけました。
すると、その投げたつる草が勢いよく茂り、なんと葡萄(ぶどう)の実がなったのです。
追ってきた予母都志許売は、その葡萄を見るとイザナギそっちのけで葡萄にむしゃぶりつき出したのです。

これで少し時間を稼げたと思いきや、予母都志許売は猛烈な勢いで葡萄を食べ尽くし、すぐにまたイザナギを追いかけてきました。
またしても追いつかれそうになると、今度は髪に刺していた櫛を投げつけます。
すると、今度は筍(たけのこ)が生えてきて、さっきと同じように予母都志許売は筍にむしゃぶりつきました。

次々と生えてくる筍に夢中の予母都志許売からは、なんとか逃げ延びることに成功します。
しかし、追ってくるのは予母都志許売だけではありませんでした。

 

「黄泉の国」と現実世界の境界「黄泉比良坂」に生えた桃の木

イザナギを追いかける為にイザナミが送った刺客は予母都志許売だけではなく、雷神(いかづちがみ)と1500を超える「黄泉の国」の軍勢もいました。

迫ってくる軍勢に対して、イザナギは持っていた十拳剣(とつかのつるぎ)を後手(しりえで)で振りながら逃げました。
※後手で何かをすることは相手を呪う行為とされています。

なんとか「黄泉の国」と現実世界の境界である「黄泉比良坂(よもつひらさか)」までやってくると、そこには1本の桃の木がありました。
イザナギは桃の実を3個獲って、迫ってくる軍勢に向けて投げつけると、どういう訳か軍勢はピタリと追うのを止めそのまま帰っていきました。

桃の実に命を助けられたイザナギは、「私を助けてくれたように、現世の人間が困っていたら同じように助けてほしい」と言い、感謝の気持ちも込めてこの桃の木に「意富加牟豆美命(おおかむずみのみこと)」という名前を授けました。

桃太郎の起源?

この桃の実の神話が元となって、おとぎ話「桃太郎」は作られた、という説もあります。

 

イザナギ・イザナミの喧嘩:そして最後の別れ

イザナギは予母都志許売や「黄泉の国」の軍勢から逃れることに成功し、ほっと一息ついたのもつかの間、最後はイザナミが腐敗した体を引きずりながら迫ってきました。

その姿を見たイザナギは、1000人がかりでようやく動かせるという「千引(ちびき)の岩」と呼ばれる巨大な岩で「黄泉比良坂」を塞ぎました。

巨大な岩ごしに対面したイザナギとイザナミ。
イザナギはすかさず夫婦離縁の呪文とされる「事戸(ことど)」を発すると、それに激怒したイザナミは「あなたがそのような事をするのであれば、あなたの国の人々を1日1000人絞め殺してやる!」と、恐ろしい言葉をイザナギに向けて言いました。
その言葉を受けたイザナギは「それならば私は1日1500の産屋(うぶや:あかちゃん)を建てよう!」と応戦しました。

このように、最後は罵り合いの喧嘩の末、イザナギとイザナミは永遠の別れをすることになったのです。

かくして現世では毎日1000人が死に、1500人が生まれるようになった、と『古事記』の神話では語られています。

 

 

イザナギのその後、イザナミのその後について解説!

日本の国土を創造した夫婦の神・イザナギ・イザナミですが、最後はこのようなひどい喧嘩別れをしています。

完全に「黄泉の国」の住人となったイザナミは、「黄泉津大神(よもつおおかみ)」と呼ばれるようになり、一説にはイザナミが最後に言った「1日1000人殺す」という言葉がもとで人間には寿命ができた、とも言われています。
言わば死を司る神になってしまったと言えるでしょう。

このイザナギとイザナミの物語について、おもしろおかしく知れる動画をご紹介します。

 

一方、「黄泉の国」から現世に戻ったイザナギは、この「黄泉の国」での出来事をきっかけに、日本の最高神・天照大御神(アマテラスオオミカミ)を生み出します。

そして、その天照大御神の神話を経て、子孫が初代・神武天皇となり、令和の現代にも続く天皇の歴史へと続いてゆくのです。

こうした太古の時代の神々から、令和の現代にまで繋がる壮大な日本の歴史。

その日本の歴史の始まりとなる神話は『古事記』や『日本書紀』で知ることができます。

    

さて、イザナギがその後に生み出すことになる天照大御神と天皇とのつながりについては、下記の記事でまとめていますので、興味をもった人はこちらの記事も参考にしてみて下さい。

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