古事記・日本書紀

古事記の海幸彦と山幸彦の神話が理不尽でひどい!現代語訳であらすじと理由を解説

2020年2月9日

日本最古の歴史書である『古事記』には、日本の神様から天皇の誕生へとつながる日本神話が書かれています。

その日本神話の中で海幸彦と山幸彦という兄弟が登場しますが、この兄弟の神話がちょっとひどいので現代語訳であらすじをご紹介します。

 

『古事記』の海幸山幸(海幸彦・山幸彦)の理不尽でひどい日本神話のあらすじを現代語訳で簡潔に解説!

それでは『古事記』に書かれている海幸彦と山幸彦の神話をご紹介しましょう。

兄・海幸彦の釣り針を失くしてしまった弟・山幸彦は海の神に助けを求める

あるところに海幸彦と山幸彦という兄弟がいて、兄の海幸彦はその名の通り海の幸を獲ることが得意で、弟の山幸彦は山の幸を獲ることを得意としていました。

ある日、弟の山幸彦が「お互いの道具を交換しよう」と兄の海幸彦に提案しますが、海幸彦は最初は断わっていました。

ところが、何度も山幸彦が言ってくるので、仕方なくお互いの道具を交換し、今までと違う獲物をとることにしました。

しかし、二人共まったく獲物が獲れなかったので、諦めて元通りの道具にしようと海幸彦が言いました。

すると、なんと山幸彦は海幸彦の愛用の釣り針を無くしてしまったと言います。

そこで、山幸彦は自分の太刀を溶かして1000本以上の釣り針で償おうとしますが、海幸彦は一切受け取ろうとせず、「元の釣り針を返せ!」の一点張りでした。

困り果てた山幸彦は海辺で泣いていると、どこからともなく老人が現れ、泣いているわけを尋ねてきました。

山幸彦がそのわけを話すと、その老人は「それならば海の神がうまく取り計らってくれるでしょう」と言い、小舟を作ってそこに山幸彦を乗せ、海の神のいる宮殿へと送り出しました。

こうして、山幸彦は無くした釣り針を求めて海の神のいる宮殿へ向かったのでした。もとをたどると、山幸彦が悪いわけです。

 

海の宮殿で、海の神の娘・豊玉姫と結婚し妻にする山幸彦

海の宮殿に着いた山幸彦は、そこに仕えている侍女を通じて山の神の娘である豊玉姫と出会いました。

二人は出会った瞬間に恋に落ち、豊玉姫はすぐに父である海の神・綿津見神(わたつみのかみ)に「とても麗しい人がいました」と心を弾ませて紹介しました。

すると、綿津見神もとても喜び、ごちそうを用意し宴を開いて山幸彦を大いにもてなしました。

そして、山幸彦と豊玉姫は結婚してそれから3年間二人は幸せな夫婦生活を送ったのでした。

兄の海幸彦の釣り針を求めてやってきたはずなのに・・・山幸彦は本来の目的を忘れて。。。

 

海の神の道具を使うクズな山幸彦:理不尽でかわいそうな海幸彦

ある日、ふと兄の釣り針のことを思い出した山幸彦は、憂鬱な気分になり深いため息をついていました。

それを見て心配になった豊玉姫は、父の綿津見神にその様子を伝えると、綿津見神が山幸彦になぜため息をついているのか尋ねました。

そこで山幸彦は兄の釣り針を無くしたことを打ち明けると、綿津見神は海にいるすべての魚を集め、その釣り針のありかを知っている者がいないか聞き出してくれました。

すると、どうやらノドに何か引っかかっている鯛がいることがわかり、その鯛を調べてみると、なんと海幸彦の釣り針が引っかかっていたのです。

こうして本来の目的である、兄の釣り針を探し出すことに成功したのでした。(3年もほったらかしでしたが)

釣り針を手に入れた山幸彦に対し綿津見神は「この釣り針を兄に渡す時、呪文を唱えながら後手で渡しなさい。兄は貧しくなっていき、やがて攻め込んできたらこの玉を使って苦しめなさい」と言い、潮盈珠(しおみつたま)と塩乾珠(しおふるたま)という玉を授けました。

そして山幸彦は釣り針を帰すために海幸彦に会うと、綿津見神に言われたとおりに呪文を唱え後手で釣り針を渡しました。

すると、しばらく経つと海幸彦は次第に貧乏になり心も荒んできて、ついに山幸彦のもとへ攻め込んできたのです。

それを迎え撃つ山幸彦は、潮盈珠を使って水を発生させて海幸彦を溺れさせたり、塩乾珠でその水を引かせることで、海幸彦を苦しめてついには屈服させたのでした。

そして弟の山幸彦は、とうとう兄の海幸彦を従わせることにしたのでした。

この神話を簡単にまとめると、

  • 山幸彦が海幸彦の釣り針を無くした
  • 山幸彦は釣り針を求めて海の宮殿に行った
  • 山幸彦は釣り針のことを忘れて、豊玉姫と幸せに暮らした(3年間ほったらかし)
  • 山幸彦は釣り針を返す時に海幸彦に呪いをかけた
  • 呪いのせいで海幸彦は貧乏になり心が荒んだ
  • 心が荒んだ海幸彦は山幸彦に攻め込んだ
  • 海の神の道具で、山幸彦は海幸彦を屈服させ従わせた

と、どう考えても山幸彦が悪いわけで、海幸彦はかわいそうですよね。

これはあまりにも理不尽でひどい物語だと思いませんか。

なぜこのような理不尽でひどい物語が書かれているのか?それは当時の日本国内の情勢を示したものだとされており、それについては次の項で説明していきます。

 

 

海幸彦・山幸彦の神話は天皇家と隼人の争いを意味している説を解説!

ではなぜ海幸彦と山幸彦のひどい神話が『古事記』に記されているのか?それについての説を解説していきます。

海幸彦と山幸彦の家系図をたどると、実は日本の最高位の神である天照大御神(アマテラスオオミカミ)に行き着きます。

そして、山幸彦の孫が初代・神武天皇であり、以後現在まで続く歴代天皇の祖となる人物です。

一方、海幸彦は古代の九州の薩摩地方の豪族・隼人(はやと)の祖であるとされています。

古代の日本においては、天皇を中心とする政権とそれ以外の豪族の対立もあったようで、この隼人や熊襲(くまそ)などはその主な対立的豪族の代表とされています。

『古事記』で隼人の祖とされている海幸彦を、天皇家の祖である山幸彦が屈服させたことを記したのは、当時の隼人が天皇家に従ったことを示す為だったと言われています。

このように、『古事記』の神話には当時の情勢なども含めた意味が隠されていたりします。

ほかの神話にも隠された真実があり、知れば知るほど『古事記』の奥深さを感じることが出来ますよ。

 

なお、山幸彦と妻の豊玉姫は結婚後に子供を生みますが、その時の山幸彦はやはりクズのような行動をします。

それについては下記の記事の中で紹介していますので、併せて読んでみて下さい。

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