『千と千尋の神隠し』で物語の終盤に登場する銭婆(ゼニーバ)は、一目見た限りでは強欲な湯婆婆(ユバーバ)とまったく変わらず、威圧感のある風貌ですよね。
千尋が会いに行くと言った時、窯爺も恐れるほどだったので、よほど怖い存在なのかと思いきや、実際に千尋が会ってみるとお茶やお菓子でもてなしてくれるとても優しいおばあちゃんで、帰り際には髪留めをプレゼントするほどでした。
さて、物語のラストで千尋が元の世界に戻ろうとした時、銭婆からもらったこの髪留めがキラリと光る場面があります。
これは何かを暗示しているかのようですが、それが何か物語の中では語られていませんね。
そこで、この記事では銭婆からもらった髪留めがなぜ光ったのか、その理由について探っています。
このシーンが気になっている人もいると思いますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
※「油屋」で働いている時は「千」でしたが、ここでは「千尋」で統一します。
目次
銭婆(ゼニーバ)からもらった髪留めが光った理由は?
それではさっそく銭婆からもらった髪留めが光った理由について探っていきましょう。
千尋が振り返らないようにする為
千尋が元の世界に戻ろうとした時、ハクから決して振り返らないようにと忠告を受けていましたよね。
ところが、いざ帰ろうとした時に千尋は一瞬振り返ってしまいそうになります。
銭婆からもらった髪留めが光ったのは、まさに千尋が振り返りそうになった瞬間でした。
光ったタイミングを考えると、銭婆がこの髪留めに魔法をかけ、もし千尋が振り返りそうになったら止めるようにしたのではないか?とも考えられます。
そして実際、千尋が振り返りそうになったので、魔法の力が働いて光ったのかもしれません。
銭婆は特にこの髪留めについて魔法をかけたとか、不思議な力があるとは言っていませんが、千尋を助ける為にこっそりと魔法をかけたのだと思います。
また、この髪留めは千尋が振り返らないようにするだけではなく、別のところでも重要な役割を果たしていたと考えられています。
それについては下記の記事でご紹介していますので、こちらもぜひ読んでみて下さい。
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夢ではなかったことを示す為
油屋のある別世界にくる前の千尋は、車の中でもぼんやりとしていて無気力なように映っていますよね。
ところが、千尋は油屋に来てからというもの、ゴミを引っ張り出して川の主の神様を助けたり、カオナシと対峙して結果的に救ってあげたりと、様々な経験をしていきました。
特に、ハクに対しては助けてもらうだけでなく、傷ついたハクを助けようと必死に自分の頭で考えて行動に出ていますし、元の世界にいた頃とはまるで別人のように成長していますよね。
しかし、また元の世界に戻った時に、千尋の両親がそうであるように、もしかしたらこの別世界での出来事を夢だと思って忘れてしまうかもしれません。
そこで、銭婆は決してこの時のことを忘れないようにする為にも、この世界のものを持って帰らせようと髪留めをプレゼントしたのではないでしょうか。
この髪留めが光ったのは、元の世界に戻っても、確かに別世界で過ごした日々があったことを示すアイテムとして強調させたかったのだと思います。
同じジブリ作品の『となりのトトロ』で、メイとさつきが夜中にトトロと一緒に木を育て、翌朝目が覚めると枕元にどんぐりが置いてあり、なかなか出てこなかった庭の木の芽が出ていて、二人は「夢だけど、夢じゃなかった」と喜ぶシーンがありますよね。
このシーンのどんぐりのように、銭婆からもらった髪留めは、夢のような世界だったけど、決して夢じゃなかったということを示す重要なプレゼントだったのだと思います。
銭婆(ゼニーバ)は怖い?千尋には優しい理由は?
さて、銭婆は千尋にはお茶やお菓子を振舞ってくれたり、髪留めをプレゼントしてくれるなど、とても優しい印象を受けますよね。
ではなぜ千尋に対してだけ優しいのか、多くの人が不思議に思うところでしょう。
そこで、その理由についてみました考えてみましたので、ひとつの参考にしてもらえればと思います。
窯爺には怖いと恐れられる
ハクは湯婆婆の命令により銭婆のもとへ潜入して「魔女の契約印」を盗み出したことで、追ってきた式神の攻撃を受けて瀕死の重傷を負ってしまいます。
そんなハクを助けようと、千尋は川の主からもらった団子を食べさせ、ハクに代わって銭婆のもとへ「魔女の契約印」を返しに行こうと決意したのです。
そして、窯爺にどうすれば銭婆のもとへ行けるか尋ねると、電車の切符をくれて行き方を教えてくれたものの、窯爺は銭婆はとても怖いと怯えていました。
魔女の契約印を盗んだということもありますが、ハクに対してはとても厳しく、窯爺や油屋の従業員からも銭婆はとても怖い存在とされています。
千尋に優しい理由は?
このように窯爺からも恐れられる銭婆ですが、なぜか千尋に対しては、足の生えたランプで家を案内してくれたり、お茶やお菓子を出してもてなしてくれるなど、とても怖い一面は見られませんでした。
それではなぜ千尋に対して優しいのか?
それは千尋が湯婆婆のように欲望にまみれず、友愛の心を持っていたからではないでしょうか。
銭婆婆は湯婆場と双子の姉妹ですが、その性格や生活ぶりはまるで正反対といえるでしょう。
湯婆婆はともかく「金・金・金」で自分の利益になることばかりを追い求め、坊がネズミに変えられてしまったことにも気づかないほどで、「本当に大切なものは何か」ということをすっかり見失っています。
反対に銭婆は小さな家に住み、質素な暮らしをしていますが、カオナシに対しても差別することなく受け入れており、友愛の心を持ち合わせていますよね。
湯婆婆のもとにいる油屋の従業員は、湯婆婆の影響もあってかカオナシが出した砂金に目がくらむなど、とかく金に目がくらんで欲望にまみれていましたが、そんな中にあっても千尋はカオナシが出した砂金には目もくれず、ハクを助けたいという一心でした。
こうした友愛の心を持った千尋だからこそ、銭婆は千尋を受け入れて優しく振舞ったのではないでしょうか。
そして千尋を認めたからこそ、その後銭婆のもとに現れたハクに対しても、あっさりと魔女の契約印を盗んだことを許したのだと思います。
まとめ
- 『千と千尋の神隠し』で銭婆からもらった髪留めが光った理由は、千尋が元の世界に戻る時に振り返らないようにする為。
- 髪留めが光ったのは、元の世界に戻っても別世界での生活があったことを忘れないように示す為。
- 銭婆が千尋に対して優しいのは、千尋が友愛の心を持ち合わせていたから。
当ブログでは『千と千尋の神隠し』にまつわる記事をいくつか掲載しています。
興味のある方はこちらの記事もぜひ参考にしてみて下さい。
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