『千と千尋の神隠し』に登場する巨大な赤ちゃんの坊は、湯婆婆に甘やかされて育てられていますね。
坊は湯婆婆の子供ということですが、老婆の姿の湯婆婆の子供にしてはずいぶんと年齢が離れているようにも見えますし、それ以上のことはほとんどわからない為、かなり謎の多い存在ですよね。
そこで、この記事ではそんな謎の多い坊の正体について深堀してみました。
湯婆婆との関係も含めて考察していますので、坊のことが気になる人はひとつの参考にしてもらえたら嬉しいですね。
目次
『千と千尋の神隠し』坊の正体は?
さて、さっそく坊とは一体何者なのか正体を探ってみます。
湯婆婆の本当の子供なのか?
坊はハクが言うには湯婆婆の子供ということですが、湯婆婆からは自分の子供であるということは明言していません。
二人の見た目から推察するにはとても本当の親子のようには見えませんよね。
また、坊が湯婆婆のことを呼ぶときは「ママ・お母さん」などではなく「ばーば」と言っており、坊は湯婆婆のことを母親だと思っていないような口ぶりですね。
そうなると、坊は湯婆婆の本当の母親ではなく、養子なのではないかとも思えてきますよね。
また、湯婆婆の姉の銭婆は「沼の底」でひっそりと一人でくらしており、家族がいる様子は見受けられません。
とすると、もしかしたら魔女は子供を産むことができない体質で、銭婆には家族はいないのかもしれませんね。
しかし、何でも欲しがる湯婆婆は何としても家族が欲しいと思い、坊を養子にむかえたのではないでしょうか。
坊の年齢と体格
ところで、坊は赤ちゃんのような見た目ですが、一体何歳なのでしょうか?
ちなみに、千尋は10歳、ハクは12歳、リンは14歳ということはわかっていますが、坊の年齢は判明していません。
もし見た目通りの年齢ならば0歳~2歳くらいなのかと想像することはできます。
ただ、見た目こそ赤ちゃんの姿をしていますが、体格は湯婆婆よりも大きくまるでお相撲さんのようですし、千尋や湯婆婆とは一応会話できるほどには成長していますよね。
このように、坊は見た目と体格と人格がバラバラで年齢がつかめないわけですが、それはもしかすると、湯婆婆が大人になってしまう坊を嫌がって、魔法をかけて見た目だけ赤ちゃんのような姿のままにしてしまい、体格だけが大きくなってしまったとも想像できます。
もしくは、始めから坊には魔法がかけられていて、ちゃんと育てないといつまでも見た目が変わらないようにさせられている、ということもありえるかもしれません。
つまり、坊の見た目が赤ちゃんのままなのは、魔法をかけられていてちゃんと育てられていないから。
そう考えると、坊は実はもう体格に恵まれた大人の年齢なのかもしれませんね。
坊と湯婆婆の関係は?
親子関係が希薄?
さて、坊は湯婆婆に甘やかされて育った為に、自分の都合が悪くなると泣き喚いて湯婆婆を困らせるだけでなく、千尋に対しても遊んでくれなきゃ泣くといってわがままを言って困らせていましたね。
そんなわがままばかりの坊も銭婆によってネズミにされると、湯婆婆はそのことに気づかず「汚いネズミ」と吐き捨てました。
あれほど可愛がっていたはずなのに、姿を変えられたことに気付くことができなかったわけです。
このシーンを見るだけでも、湯婆婆と坊との親子関係が希薄だということをみてとることができますね。
これはわがままばかり言う子供と、その子供甘やかしてばかりいる親子の関係の希薄さを表していて、見ている私達にも警鐘を鳴らすメッセージなのかもしれません。
千尋と両親の関係も当初はあまりいいとは思えませんし、この物語はある種の親子関係についての在り方を見つめる物語なのかもしれませんね。
甘やかされて育てられた理由
先ほども触れましたが、坊は湯婆婆の本当の子供ではなく、養子でもらった子供なのではないでしょうか。
ではいったいどこから養子をもらったかといことですが、作中では描かれていないものの、湯婆婆は雇われて油屋を経営しているようで、油屋のオーナーは別にいるのではないかと思います。
つまり、湯婆婆は油屋の中ではトップに立つ人物ですが、その上にまだ湯婆婆の雇い主がいると考えられるのです。
そのことについては下記の記事に譲るとして、坊はその雇い主の人物(もしくは組織)から養子にもらったのではないでしょうか。
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冒頭では湯婆婆が自分から願い出て養子をもらい受けたと言いましたが、もしかすると雇い主からの命令で養子にとった可能性もありますね。
とすれば、湯婆婆は自分より格上の人物(もしくは神様?)からの命令で授かった子供ですから、甘やかして大事に育てていることにも納得がいきます。
ちょっと飛躍した考えですが、坊と湯婆婆の関係は格上の人物の意思による養子縁組での親子関係ということも考えられるわけです。
坊の父親と湯婆婆の関係を考察
さて、気になる坊と湯婆婆の関係をもう少し掘り下げるとともに、父親は誰なのかということについても考えてみます。
坊の父親は誰?
さて、それでは坊の父親は誰なのかというと、それは前述した湯婆婆の雇い主である人物なのではないでしょうか。
そしてその雇い主というのは、油屋に来るやおよろずの神様と同じく、どこかの偉い神様である可能性が高いと思います。
さて、日本ではやおよろずの神様は毎年神無月(10月)に出雲大社に集まって縁結びの相談をするという伝承があり、これはまさに油屋の存在と似ています。
その出雲大社に祭られる神様は大国主命といい、因幡の白兎を助けた神様でもありますね。
また、その大国主命は多くの女神と結婚し子孫繁栄させた神様として神話にも書かれています。
これらのことをつなぎ合わせて考えると、坊の父親は出雲大社に祭られる神様の大国主命で、他の女神が生んだ子供を湯婆婆に育てさせたと考えることもできます。
ちなみに、大国主命は地上世界「葦原の中つ国」でトップに立っていた神様なので、仮に『千と千尋の神隠し』に登場していたら湯婆婆は絶対に逆らえないはずです。笑
坊の父親と湯婆婆の関係
坊の父親は、日本の神話に登場し出雲大社に祀られる神様の大国主命だとお伝えしましたが、実は大国主命には温泉にまつわる伝説があります。
どんな伝説かというと、大国主命と少名彦名命という神様と旅をしていた時に少名彦名命が病にかかってしまうのですが、近くの道後温泉に浸かるとたちどころに回復した、というお話です。
このように、大国主命には温泉とも深い関わりがあり、『千と千尋の神隠し』の油屋も、実は大国主命が道後温泉の伝説のように、神様を癒やすために造ったとすることも考えられます。
そして大国主命はその油屋の経営者として、魔女の湯婆婆に白羽の矢を立てた、というわけです。
あくまでも想像の域をでませんが、このように大国主命が湯婆婆に神様を癒やす油屋と息子の坊を託した、と考えるとそれなりに納得がいく話ではないでしょうか。
このように、色々と想像を巡らせてみるのも『千と千尋の神隠し』の醍醐味のひとつかもしれませんね。
今回ご紹介したことはジブリの公式な見解でもなんでもなく、あくまでも個人の想像の範囲をでませんので、「こんな考え方もあるな」と参考程度に考えて下さい。
まとめ
- 『千と千尋の神隠し』に登場する坊は湯婆婆の本当のこどもではなく養子。
- 湯婆婆と坊の関係は、親子関係の希薄さを示すメッセージが込められている。
- 湯婆婆は命じられて坊を養子にした。
- 坊の父親は出雲大社に祭られる大国主命。
当ブログでは『千と千尋の神隠し』にまつわる記事をいくつか掲載しています。
興味のある方はこちらの記事もぜひ参考にしてみて下さい。
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