織田信長を裏切って「本能寺の変」を引き起こした明智光秀は謀反人のイメージが定着していますよね。
ただ、近年は様々な研究から実は庶民に優しい政治を行っていた人物だったとする説もあり、大河ドラマ『麒麟がくる』でも元主君の斎藤道三が夢見た「大きな国」作りを目指す明智光秀が描かれ、理想を追求した人物であったとの見方も強まっていますね。
このように明智光秀が理想を追求した人物として描かれるアニメ『へうげもの』では、その明智光秀が死ぬ最後に詠んだ辞世の句のシーンが心を打ちます。
側室を持つことが当たり前の戦国時代にあって、煕子以外に妻を持たず仲睦まじい夫婦だったという明智光秀。
その妻・煕子との逸話も織り交ぜられた『へうげもの』での明智光秀の辞世の句のワンシーンをご紹介します。
明智光秀の最後・辞世の句を描いたアニメ『へうげもの』とはどんなアニメ?
『へうげもの』とはどんなアニメなのか簡単に解説
『へうげもの』は、山田芳裕さん原作の漫画をアニメ化したもので、2011年にNHK BSプレミアムで放送されました。
主人公の古田織部(重然)は、戦国時代に織田信長や豊臣秀吉に使えた武将であり、同時に茶人として茶器などにも通じており「織部好み」という流行を生み出した文化人でもありました。
戦国時代の作品というと、やはり合戦に重点をおいて描くケースが多いですが、この『へうげもの』は文化人の古田織部が主人公ということからもわかる通り、茶器などの文化的な側面から戦国時代を描いた珍しい作品です。
この『へうげもの』は、茶の湯に精通し茶道具を収集するなど芸事に熱心な「数奇者」が大きなテーマになっていて、茶会や連歌会など開いて文化人としても名高い明智光秀も登場します。
今まで明智光秀は「本能寺の変」を引き起こした謀反人のイメージが定着していましたが、『へうげもの』では世の中を良くしたいと願う人物として描かれています。
大河ドラマ『麒麟がくる』が好きな人にもおすすめのアニメ
明智光秀が主人公の大河ドラマ『麒麟がくる』では、かつての主君・斎藤道三が夢見た「大きな国」を作りたいと願う人物として描かれていますね。
理想にむかって突き進む明智光秀の姿は、『へうげもの』で描かれる明智光秀のそれと通じるところがあります。
そんな理想の国作りを夢見た明智光秀が、なぜ「本能寺の変」を引き起こしてしまったのか?
そのことは『麒麟がくる』でどのように描かれるか一番気になるところですが、『へうげもの』での明智光秀がそのヒントになるかもしれませんよ。
明智光秀が死ぬ最後に辞世の句を詠んだ『へうげもの』のシーンとその意味
理想の国作りを志して決起した「本能寺の変」
しかしその後、羽柴秀吉(豊臣秀吉)との戦いに敗れ、逃げる途中で襲われて命を落とすことになります。
その死ぬ最後に言い残した明智光秀の辞世の句は、自身の半生と妻・煕子への思いが詰まった内容で心を打ちますよ。
『へうげもの』で明智光秀が死ぬ最後に詠んだ辞世の句「月さびよ・・」は松尾芭蕉の俳句
月さびよ 明智が妻の 咄しせむ
『へうげもの』で明智光秀が詠んだこの辞世の句は、実は明智光秀が詠んだものではなく松尾芭蕉によるものです。
この俳句は、松尾芭蕉が奥の細道の旅を終えて伊勢の遷宮参詣をした際、又幻と言う人の家に泊まった時、貧しいにもかかわらず又幻夫婦の暖かいもてなしを受けた芭蕉は感激して詠んだそうです。
この俳句には『寂しい月明りのもとですが、明智光秀の妻の昔話をしてあげましょう。(あなたのその心掛けは、必ず報いられる日が来ますよ)』といった意味が込められているそうです。
これは明智光秀が織田信長に仕える前、貧しく不遇な生活を余儀なくされていた時代に妻の煕子に支えられた逸話が元になっています。
『へうげもの』では明智光秀と妻・煕子の髪にまつわる逸話を元にしている
この松尾芭蕉の俳句は、明智光秀が出世する前の貧しかった時代のエピソードが元になっています。
それは一体どんなエピソードなのかご紹介します。
当時は「汁事」という各家が持ち回りで行う宴会の習慣があり、明智光秀にその順番が回ってきましたが、もてなす料理を用意できないほど貧しかったそうです。
そこで妻の煕子は、自分の長くて美しい髪をバッサリ切り、それを売ってお金を工面しました。
そしてそのお金を使って豪家な料理でもてなし、参加した人はみな満足してこの会は大成功に終わります。
妻の煕子は夫の光秀が恥をかかぬよう自分の大事な髪を切ってまでお金を工面して支え、光秀も煕子の思いに応えるように出世していったのです。
二人は固い絆で結ばれていたことがわかるエピソードですよね。
アニメ『へうげもの』の14話で放送
この明智光秀が辞世の句を詠んだエピソードはアニメ『へうげもの』の14話で描かれています。
理想の国作りを目指したものの、ついにその夢は叶わず力尽きようとする明智光秀。
その時ふと脳裏によぎったのは、貧しくつらい時も支えてくれた妻・煕子との思い出でした。
哀愁とともに詠まれたこの辞世の句のシーンは、史実とは違う『へうげもの』でのオリジナル表現ですが、明智光秀がどんな人物であったかを物語っていて心に残る名場面と言えますね。
明智光秀の本当の辞世の句
逆順二門無し
大道心源に徹す
五十五年の夢
覚め来たれば
一元に帰す
<作家:吉川英治の訳>
たとえ信長は討つとも、順逆に問われるいわれはない。彼も我もひとしき武門。
武門の上に仰ぎかしこむはただ一方のほかあろうや。
その大道は我が心源にあること。知るものはやがて知ろう。
とはいえ五十五年の夢、醒むれば我も世俗の毀誉褒貶に洩れるものではなかった。
しかしその毀誉褒貶をなす者もまた一元に帰せざるを得まい。
原文は漢詩で書かれており、「本能寺の変を正当化する意味がある」など解釈は様々です。
総じて無念さが滲み出ているように思えますね。
まとめ
- 戦国武将の明智光秀が登場するアニメなら『へうげもの』がおすすめ。
- 理想の国作りを志した明智光秀の人物像は、大河ドラマ『麒麟がくる』の明智光秀像と似ている。
- 『へうげもの』で明智光秀が遺した辞世の句は松尾芭蕉の俳句。
- その辞世の句は明智光秀と妻・煕子の夫婦仲を示した逸話が元になっている。
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