漫画NARUTO(ナルト)の技の名前にもなっており、その他にも様々な漫画やゲームのキャラクターとしても登場する天照大御神(アマテラスオオミカミ:以後アマテラス)と須佐之男命(スサノオノミコト:以後スサノオ)。
どちらも日本神話に登場する有名な神様ですが、どんな神様でどんな関係があるのかという事はあまり知られていないかもしれません。
この記事では、そんなアマテラスとスサノオの関係を、日本最古の歴史書『古事記』の日本神話の一節から解説していきます。
目次
アマテラスとスサノオはどんな性格の神様なのか日本神話から簡単に解説!
まずはアマテラスとスサノオが、それぞれどんな性格の神様なのか『古事記』の日本神話をもとに解説します。
控えめでひきこもりがちな性格のアマテラス
アマテラスは天皇の先祖にあたる神様で、太陽の神であり日本の最高神とされる女神です。
ですが、日本神話に登場するアマテラスは有名な「天岩戸(あまのいわと)」神話からもわかるように、気持ちが沈むと引きこもってしまうような性格です。
また、出雲大社に祀られる大国主命(オオクニヌシノミコト:以後オオクニヌシ)から国を譲り受ける神話の中で、アマテラスの控えめな性格が伺えます。
オオクニヌシとの交渉をする神様を選ぶ際に、自分が決めるのではなく他の神様の推薦に素直に従っています。
そしてオオクニヌシから譲り受けた国は、アマテラスは当初息子に治めさせようとしますが、その息子が自分の子供(アマテラスの孫)に治めさせようと言うと、これまた素直に従いました。
アマテラスは日本の頂点に立つ神様ですが、自分の意思を貫き通して皆を引っ張っていくというより、控えめで皆の意見を尊重して和を大事にするタイプの神様と言えるでしょう。
英雄的な反面、暴力的で荒々しい性格のスサノオ
スサノオは頭が8つある怪物・ヤマタノオロチを退治した神様として有名です。
このヤマタノオロチ退治の神話のイメージが強いので、強く勇ましい英雄のような存在と認識されることが多いと思います。
ですが、生まれたばかりの頃は泣いてばかりで、あまりにも激しく泣くので暴風雨が巻き起こり、様々な災害を引き起こすほどでした。
また、ここでは詳細は省きますが、あまりにも酷い暴力行為をするので、それに困り果てたアマテラスが気落ちして天岩戸に引きこもってしまったのです。
このように、スサノオはヤマタノオロチを退治した英雄でもありますが、一方で暴力的で荒々しい性格の神様と言えるでしょう。
アマテラスとスサノオは兄妹の関係:家系図をもとに解説!
さて、控えめな性格のアマテラスと荒々しい性格のスサノオはどんな関係なのか、結論から先に言ってしまうと兄妹です。
それではこの兄妹の神様の生い立ちや家族構成などを、上記の家系図から解説していきます。
アマテラスとスサノオはイザナギから生まれた兄妹
アマテラスとスサノオは、伊邪那岐神(イザナギノカミ:以後イザナギ)という男神から生まれた兄妹です。
イザナギは男神で伊邪那美神(イザナミノカミ:以後イザナミ)という妻の女神がいましたが、別れた後にイザナギ単独でアマテラスとスサノオを生み出しました。
ではどのようにして生まれたかというと、イザナギが身を清める為に禊(みそぎ)をして顔をすすいでいると、その左目からアマテラスが生まれ、鼻からスサノオが生まれたのです。
アマテラスとスサノオの生みの親・イザナギと妻のイザナミについては、下記の記事であらすじをまとめましたので、そちらを御覧ください。
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月読命(ツクヨミノミコト)も含めた貴い神様・三貴子
イザナギの禊で生まれたのはアマテラスとスサノオだけではありません。
右目からは月読命(ツクヨミノミコト:以後ツクヨミ)も生まれました。
アマテラス、ツクヨミ、スサノオはイザナギが生んできた数々の神様の中でも、とりわけ貴い神様として「三貴子」と呼ばれます。
そして、アマテラスは天上世界・高天原(たかまがはら)を、ツクヨミは夜の世界・夜之食国(よるのおすくに)を、スサノオは海原を治めることになったのです。
ただ、『古事記』の神話においては、誕生の場面以外は一切ツクヨミは登場しません。
余談ですが、『古事記』で一番最初に現れた神様は天御中主神(アメノミナカヌシノカミ)と言いますが、ツクヨミ同様に誕生の場面以外は一切登場しません。
貴い神様のはずなんですが。。。
アマテラスとスサノオが兄妹喧嘩をした誓約(うけい)神話を紹介!
イザナギから生まれた後、アマテラスは高天原を治める為に天上へ向かいますが、スサノオは一向に海原を治めようとせず、泣いてばかりいました。
スサノオがあまりにも激しく泣くので、暴風雨が発生し多くの災いが起きてしまいました。
見かねたイザナギが「なぜそんなに泣いてばかりいるのか」とスサノオに尋ねると「母が恋しくて泣いている」と応えました。
それを不快に思ったイザナギは、スサノオを別の世界へ追放してしまいます。
追放されたスサノオは、姉のアマテラスにひと目会おうと高天原に向かいますが、アマテラスは「気性の荒い弟がやってくるのは何か企んでいるに違いない」と警戒して迎えます。
高天原にやってきたスサノオに対し、アマテラスは「なぜやってきたのだ!何か企んでいるんだろう?」と問いただすように言いました。
それに対しスサノオは「何もやましいことは考えていない。追放されたので、ただひと目会いにきただけだ」と言いました。
ところがアマテラスはスサノオの言葉を信じようとはせず「それならどうやって身の潔白を証明できるんだい?」とスサノオに問います。
するとスサノオは「それならお互いに誓約(うけい)をして子供を生もう」と言いました。
売り言葉に買い言葉の喧嘩状態ですね。
なお、誓約とはあらかじめ決めたとおりの結果が現れるかどうかで吉凶を判断する占いの一種です。
まずアマテラスが、スサノオの持っていた十拳剣(とつかのつるぎ)を折り、それを口に入れて噛んで息を吹き出すと、3柱の女神が生まれました。
次にスサノオが、アマテラスの持っていた勾玉(まがたま)を口に入れて噛んで息を吹き出すと、5柱の男神が生まれました。
アマテラスは「後に生まれた5柱の男神は、私の物から生まれたので私の子供だ」と言いました。
するとスサノオは「私の心が清らかだから、たおやかな女の子が生まれたのだ!だから私の勝ちだ!」と言って勝ち誇りました。
こうして兄妹喧嘩から始まった誓約合戦は、スサノオの勝ち(?)ということで決着したのでした。
このアマテラスとスサノオの誓約については様々な解釈があります。
その点もふまえて、とてもおもしろく解説している動画があるのでご紹介します。
その後のアマテラスとスサノオについて解説!
アマテラスとの誓約合戦に勝利(?)して勝ち誇ったスサノオは、その後高天原に居座り、やりたい放題に暴れまわりました。
そして、そのスサノオの暴行に耐えかねたアマテラスは、冒頭でも触れた天岩戸に引きこもってしまうのです。
これが有名な「天岩戸」神話で、高度経済成長期の「岩戸景気」の名前はここから名付けられました。
この「天岩戸」神話については「なんとなく名前は聞いたことがあるけどよく知らないなあ」という人も多いと思います。
そこで、この神話の内容と、アマテラスとはどんな神様なのかという事を下記の記事でまとめましたので、詳しく知りたいと思った人はぜひ読んでみて下さい。
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また、これをきっかけに『古事記』の神話に興味を持った人は下記の本がオススメです。
冒頭でもお伝えしたように、アマテラスやスサノオだけでなく、『古事記』の日本神話の神様は多くの漫画やゲームに影響を与えています。
大人気の『鬼滅の刃』も実は日本神話の影響を受けていて、そのことについて下記の記事で解説しています。
日本神話を知っていると、作品の楽しみ方も深まると思うので、気になった人はぜひ読んでみて下さい。
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