『千と千尋の神隠し』で違う世界に迷い込んでしまったあと、序盤で千尋の両親は豚の姿に変えられてしまいました。
観ている多くの人が「なぜ両親は豚になってしまったのだろう」と疑問に思ったに違いありません。
そこで、この記事では千尋の両親が豚になってしまった理由や、母親が千尋に対して冷たい理由、「非常識・クズ」とも言われる千尋の両親についても掘り下げて解説しています。
『千と千尋の神隠し』をあらためて観る際の参考にしてもらえれば嬉しいですね。
目次
『千と千尋の神隠し』で千尋の両親が豚になった理由は?
千尋の両親が豚の姿に変えられてしまった理由はいくつか考えられます。
さっそくその理由についてご紹介していきましょう。
姿を変えられたのは食べ物を勝手に食べたから
千尋の両親が豚になってしまった理由は、本来は油屋のお客様であるやおよろずの神様の食べ物を勝手に食べてしまったことの罰です。
それは初めて千尋が湯婆婆に会った時の言葉からもわかります。
ここはね、人間の来るところじゃないんだ。
八百万の神様達が疲れを癒やしに来るお湯屋なんだよ。
それなのにお前の親はなんだい!お客様の食べ物を豚のように食い散らして。当然の報いさ。
作中では描かれていませんが、お金にがめつい湯婆婆が勝手に食べてしまった千尋の両親に罰を与えたのでしょうね。
そして、いずれはその豚となった両親も食用にしてしまおうと考えていたに違いありません。
「豚」になった理由はバブル時代の背景が関係している
千尋の両親が姿を変えられてしまったのは、お客様であるやおよろずの神様の食事を勝手に食べてしまったことの罰でしたが、ではなぜ「豚」だったのか?それについて考察していきます。
「千と千尋の神隠し」が上映された2001年は、ちょうどバブル経済の崩壊から10年ほどで「失われた10年」などと言われていた時代でした。
千尋の両親の年齢を推測すると、ちょうどバブル経済が旺盛だった時代を謳歌していた世代だと考えられ、金にものをいわせて何でも手に入れられた時代を生きていたのだと思います。
こうした欲望にまみれた時代があったがために、2001年当時まで続く不況の時代が訪れてしまったことを批判的に表現したのではないでしょうか。
つまり、千尋の両親が豚になったのは、バブル経済の時代に何でも金で手に入れていた時代を象徴するものとして、何でも食べてしまう貪欲な豚を選んだのではないでしょうか。
そして、豚もむしゃむしゃと食べていると、やがて自らが食べられ側になってしまうわけで、それはバブル経済崩壊後に多くの人が苦しんだことを連想させるもののように考えられますよね。
『千と千尋の神隠し』では、このように千尋の両親が豚になることを描くことで、金に固執することに対する批判もみてとれますが、そのことはカオナシの存在する意味からも伺えます。
そのことは下記の記事で考察していますので、こちらもぜひ読んでみて下さい。
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両親は非常識なクズ!千尋に冷たい理由は?
さて、豚にされてしまった両親に対しては「非常識」「クズ」といった声が多数あります。
また、母親が千尋に対して冷たい態度をとっていることが気になる人もおり、その理由も気になるところですよね。
続いては千尋の両親に対する反応を紹介しつつ、母親が千尋に冷たい理由をご紹介していきましょう。
千尋の両親は非常識という声多数!
冷静に考えて、千と千尋の神隠しの千尋の親は非常識すぎるなww
店の人いないのに食い始めるとかw— かんちゃん (@SHANK09597) May 20, 2019
千と千尋の神隠しにでてくる千尋の親ってなかなかクズやと思う
財布やカードがあるからって理由で勝手に飯食うから豚にされて当然ですわ— 【TAD】リンクス (@lynx_okina) August 16, 2019
多くの人に共通しているのは、後で払えばいいやと勝手にお店の食べ物を食べてしまうことに対して「非常識」「クズ」だなと思っていることですね。
確かに自分に置き換えて考えてみても、この行動はちょっと信じがたいものがありますよね。
そもそも、父親が舗装されていない山道を車で突き進むのも非常識だと思いますし、異世界に入る前のトンネルを勝手に入っていくのも非常識な行動にも感じられますね。(ここでトンネルをくぐらなければ物語は終わってしまいますが。笑)
のちに湯婆婆も言っていますが、こういった非常識な行動が豚に変えられてしまった要因の一つでもあるわけですね。
なぜ母親は千尋に冷たいのか理由を考察
千尋と母親は引っ越し先に向かう車の中でも仲が悪そうに会話していましたし、異世界へと続くトンネルをくぐっている時も、怖がってすり寄る千尋に対し「千尋、あまり引っ付かないで。歩きにくいわ」と突き放すようなセリフがありました。
こうした母親の言動に対して、多くの人が「冷たいな」と感じたことでしょう。
ではなぜ母親は千尋に対して冷たいのか?それは、先ほどもご紹介したとおり、この作品がバブルに溺れた自分勝手な人達を批判的に表現していることが関係していると考えられます。
バブルの頃は世の中に金が溢れていた時代で、特に女性は男性からちやほやされ、欲しいものはすぐに手に入りました。
いわば物にしても愛情にしても、与えられることに慣れてしまっていて、自分が与える立場ではなかった。
その為、そうした刷り込みがぬぐい切れずに、我が子に対しても愛情を注いであげられず、ドライで冷たい態度になってしまった。
世の中をみるとそういった親子関係が増えてきたと宮崎駿監督の眼には写り、それを母親が千尋に対して冷たい態度をとるシーンで象徴的に表現したかったのではないでしょうか。
このように、一連の両親の言動からも『千と千尋の神隠し』は単なるファンタジーではなく、社会に対するメッセージが込められていることがわかりますね。
まとめ
- 『千と千尋の神隠し』で千尋の両親が豚になった理由は、やおよろず神様の為の料理を勝手に食べてしまったから。
- 千尋の両親が「豚」に変えられたのは、何でも手に入れようとするバブル時代を象徴する為。
- 千尋の両親は勝手に食べるなど「非常識」「クズ」だと感じる人が多数。
- 母親が千尋に冷たいのは、バブル時代に与えられることに慣れ過ぎて、子供に対しても与えることができないから。
当ブログでは『千と千尋の神隠し』にまつわる記事をいくつか掲載しています。
興味のある方はこちらの記事もぜひ参考にしてみて下さい。
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