令和2年7月に「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産に登録され、あらためて古墳について興味を持った人もいると思います。
ただ、こちらは天皇陵であり、もちろん一般の人は中に入ることはできません。
しかし、稲荷山古墳でも有名な埼玉(さきたま)古墳群には中に入れる古墳もあります。
この記事では、そんな実は中に入れるすごい埼玉古墳群についてご紹介しています。
古墳の中に入れる埼玉県行田市の埼玉古墳群を紹介!
関東では最大級の埼玉(さきたま)古墳群とは?
県名発祥の地、行田市(ぎょうだし)大字埼玉にあり、5世紀後半から7世紀はじめころまでに造られた9基の大型古墳が集まった関東で最大級の古墳群です。
令和2年に埼玉県内では初の特別史跡に指定され、国内の特別史跡の古墳群としては昭和27年(1952)以来67年ぶり、3例目となります。
国宝の鉄剣が出土したことで有名な稲荷山古墳
歴史の教科書でも掲載されている「ワカタケル」の文字が刻まれた国宝の鉄剣「金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)」が出土したことでも有名な古墳です。
昭和43年(1968年)の発掘調査で、上記の鉄剣のほか帯金具・まが玉・鏡など多くの遺物が出土しました。
これらは昭和58年(1983年)に一括して国宝に指定されました。
この稲荷山古墳は登ることができます!
武蔵国で最大の前方後円墳の二子山古墳
二子山古墳は、武蔵国(埼玉県・東京都・神奈川県の一部)で、最も大きな前方後円墳です。
造られた時期は6世紀前半と考えられています。
鍵穴のような形状の前方後円墳は、令和元年7月に世界遺産に登録された「百舌鳥・古市古墳群」の仁徳天皇陵が世界最大の墳墓としても有名ですね。
こちらの二子山古墳は登ることはできません。
日本最大級の円墳で石田堤跡そばの丸墓山古墳
丸墓山古墳は、日本最大級の円墳です。
出土した埴輪から6世紀後半に造られたものと考えられています。
この古墳から駐車場の方へ続く道は、戦国時代に豊臣秀吉の家臣・石田三成が忍城を水攻めにする時に築いた「石田堤」の跡と言われています。
なお、この石田三成の忍城への水攻めを描いた、映画「のぼうの城」の舞台としても有名です。
この丸墓山古墳は登ることが出来ます!しかも頂上には桜の木があり、美しい桜を楽しむことができます!
古墳の中に入れる将軍山古墳:古墳の内部構造や遺体などが再現された展示館が設置されている
将軍山古墳は、墳丘に埴輪の模造品が立っており、当時の様子を再現しています。
明治27年(1894年)に地元の人々により発掘され、横穴式石室から多くの副葬品が出土しました。
墳丘と堀を復元し、実物の横穴式石室を建物の中から見学できる我が国初の展示館を設置しています。
つまり、古墳の中に入れることができるわけです!
この展示館内には、古墳の内部構造や埋葬時の遺体の様子を再現した展示もあり、古墳の内部が気になる方はうってつけの展示館です。
稲荷山古墳の行き方、周辺の飲食店のご紹介
稲荷山古墳に来たら、ぜひとも行田市のB級グルメとしても有名な「ゼリーフライ」を試してみて下さい。
この「ゼリーフライ」が食べられる飲食店や、その他にも行田市内の穴場の歴史観光スポットなども下記の記事で紹介していますので、こちらも併せて読んでみて下さい。
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稲荷山古墳周辺の飲食店や観光スポットを紹介!のぼうの城の舞台の忍城や八幡山古墳についても
埼玉県行田市(ぎょうだし)にある、国宝の鉄剣の出土でも有名な稲荷山古墳の場所や行き方をご紹介しつつ、稲荷山古墳周辺の飲食店や、行田市内にあるその他の観光スポットをご案内します。 古墳好きにはたまらない ...
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国宝・稲荷山古墳出土鉄剣などが展示されている「埼玉県立さきたま史跡の博物館」を紹介!
埼玉古墳群から道を挟んだ反対側には「埼玉県立さきたま史跡の博物館」があり、こちらの国宝展示室に稲荷山古墳出土鉄剣のほか、国宝の数々が常設展示されています。
埼玉県立さきたま史跡の博物館の概要
- 住所:〒361-0025 埼玉県行田市埼玉4834
- 開館時間:9:00~16:30(入館は16:00まで)
※7月1日~8月31日は9:00~17:00(入館は16:30まで) - 休館日:月曜日 / 12月29日~1月3日
※国民の祝日、振替休日、県民の日(11月14日)、4月29日~5月5日は開館 - アクセス:「埼玉県立さきたま史跡の博物館」より引用
■ JR吹上駅(北口)から(4.4km)
・朝日バス
「佐間経由 行田折返し場・総合教育センター・行田工業団地行」乗車(乗車時間約10分)
『産業道路』下車 徒歩約15分 GoogleMap(停留所~当館)
1時間に3~4便
※ 時刻表『吹上駅』発(朝日バスHP)
※ 時刻表『産業道路』発(朝日バスHP)
・タクシー
約15分 1800円程度(交通事情等により料金は変わります)■ JR行田駅(東口)から(5.1km)
・市内循環バス
JR行田駅前から「観光拠点循環コース」(150円)
左回り (乗車時間約15分)
7:55発 10:20発 13:25発 15:55発
右回り (乗車時間約37分)
9:05発 11:30発 14:35発
『埼玉古墳公園前』下車 徒歩約2分■ 秩父鉄道行田市駅(南口)から(2.7km)
・朝日バス
「新町一丁目(埼玉りそな銀行前)」から「佐間経由吹上駅行」乗車(乗車時間約8分)
『産業道路』下車 徒歩約15分 GoogleMap(停留所~当館)
1時間に3~4便
・市内循環バス
秩父鉄道行田市駅前から「観光拠点循環コース」(150円)
右回り (乗車時間約21分)
9:21発 11:46発 14:51発
『埼玉古墳公園前』下車 徒歩約2分・タクシー
約10分 1100円程度(交通事情等により料金は変わります)
・徒歩
約30分
■ JR北鴻巣駅(東口)から(5.3km)
バスはありません。
・徒歩(武蔵水路沿いに「さきたま緑道」利用)
約1時間
国宝の「ワカタケル」の文字が刻まれた稲荷山古墳出土鉄剣の内容など簡単に解説
歴史の教科書にも掲載される国宝「金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)」が展示されています。
一般的には「ワカタケル」の文字が刻まれた「稲荷山古墳出土鉄剣」として有名ですね。
この鉄剣に刻まれた「辛亥年(しんがいのとし)」は西暦471年と推測され、「ワカタケル大王」とは第21代・雄略天皇のことであると考えられています。
この鉄剣に書かれた内容は、ヲワケという人物の先祖から8代にわたる系譜と、ヲワケが大和政権の中心である大王家に先祖代々仕え、国を治めるのを助けてきたことを誇るために刀を作らせた、ということが記されています。
平成12年(2000年)に東京国立博物館で開催された「日本国宝展」の出品にあたり分析が行われた結果、表裏ともに特定の文字数で金70%・銀30%、金90%・銀10%という含有率で刻まれていたことがわかりました。
太古の昔にもそのような技術が備わっていたことに驚きますね。
稲荷山古墳や他の埼玉(さきたま)古墳群から出土された埴輪など国宝がずらり勢揃い
博物館には稲荷山古墳出土鉄剣「金錯銘鉄剣」だけではなく、「画文帯環状乳神獣鏡」と呼ばれる銅鏡など数々の国宝が展示されているほか、様々な形の埴輪も展示されています。
こちらに展示されている埴輪は、その多くが大型のものであり、令和2年の1月15日から3月8日まで東京国立博物館で開催の「出雲と大和」で展示されている埴輪とは異なるおもむきがありますね。
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【閉幕】特別展・出雲と大和@東京国立博物館の混雑状況やグッズ情報をご紹介!行った感想も
お知らせ ご訪問いただきありがとうございます。 新型コロナウイルス感染防止の為、特別展「出雲と大和」は2月26(水)をもって閉幕しました。 東京国立博物館Webサイト これから観覧を予定していた方にと ...
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日本最古の歴史書『古事記』で記される雄略天皇
稲荷山古墳出土鉄剣「金錯銘鉄剣」に刻まれたワカタケルは第21代・雄略天皇のこととされていますが、この雄略天皇は現在の天皇陛下のお姿からは想像もできない残虐な人物だったようです。
なぜそんなことが言えるかというと、日本最古の歴史書である『古事記』によれば、親族を次々と殺害して天皇に即位したという記述があるからです。
ただ、古代の天皇の記述については、後世の創作であろうという見方もあり、はたして本当に残虐な人物だったかどうかは定かではありません。
一つ言えるのは、この『古事記』は主に天照大御神(アマテラスオオミカミ)をはじめとする日本の神様の神話が中心ですが、実は歴代の天皇にまつわる伝説や逸話も数多く書かれており、それが非常に意外な内容でとても面白いということです。
例えば、令和元年7月に世界遺産に登録された「百舌鳥・古市古墳群」で世界最大の墳墓としても有名な仁徳天皇は、民を思いやる聖帝(ひじりみかど)と呼ばれる反面、とても女性が好きな浮気性で、正妻の激しい嫉妬に悩まされたりしていました。
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仁徳天皇とはいつの時代のどんな人?実在しない説の逸話や伝説からわかりやすく解説!
令和元年7月に大阪府の「百舌鳥(もず)・古市古墳群」が世界遺産に登録されました。 中でも、「世界最大級の墳墓」とされる仁徳天皇陵(大仙陵古墳)は特に注目を集めていますね。 さて、その世界遺産にも登録さ ...
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このように、神話ももちろん面白いのですが、今の天皇陛下からは想像もできない歴代の天皇の伝説や逸話も『古事記』には記されています。
これを機に想像以上に面白い日本の歴史書『古事記』の世界にふれてみてはいかがでしょうか。
最初は動画で見ると内容もわかりやすいと思いますので、下記の記事も参考にしながら『古事記』を楽しんでみて下さい。
ちなみに、神話の部分についてはあらすじをまとめていますので、そちらもぜひ参考にしてみて下さい。
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古事記の日本神話のあらすじをわかりやすく解説!流れと登場人物を時系列で
「古事記」は、和銅5年(西暦712年)に編纂された、日本最古の歴史書です。 と言われても、歴史の授業で名前を聞いたことがあるくらいで、ピンとこない方も多いと思うので簡単に言うと、神々の誕生から日本の国 ...
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