漫画『ゴールデンカムイ』は日露戦争後のストーリーで、「不死身の杉本」こと主人公の杉元佐一は203高地の戦いから生還したとされています。
作中でも「203高地」という言葉は時折登場し、いかに激戦が繰り広げられたかが伝わってきますよね。
ところでこの「203高地」とは一体どんな所で、そこでの戦いはどれほど激しかったのでしょうか?
また、そもそもなぜ「203高地」で激戦が起こってしまったのか、そのきっかけや理由も気になるところですよね。
この記事では、これらの「203高地」にまつわることついてご紹介しています。
ゴールデンカムイの時代背景にある日露戦争とはどんな戦争かわかりやすく解説!
1904年に開戦した日露戦争の概要
戦争期間・結果
1904年2月4日開戦決定
1905年9月5日ポーツマス条約調印
日露戦争は約1年7ヶ月に及ぶ戦争で、アメリカの仲介のもと、ポーツマス条約の調印により日本の勝利で終わります。
これにより、日本は朝鮮半島での優越権や南樺太の領土獲得、中国大陸の一部地域の租借権を得ました。
ただ、戦争継続を主張するロシアから賠償金を得ることはできず、これが戦後の日本のしこりとなります。
主な戦地・戦い
日露戦争は主に清(現在の中国)の遼東半島から満洲にかけて戦いが繰り広げられました。
主な戦いは下記のとおりです。
- 旅順港閉塞作戦
- 旅順総攻撃(203高地)
- 黄海海戦
- 奉天会戦
- 日本海海戦
ゴールデンカムイで主人公の杉元佐一も参戦した203高地での戦いは、旅順総攻撃のうちの一つの作戦です。
日露の国力・兵力比較
人口
日本:約4600万人 ロシア:約1億2000万人
年間歳入額(円:当時)
日本:約2.5億円 ロシア:約20億円
兵力
日本:約100万人 ロシア:約200万人
海軍力(艦船総t数)
日本:約28万t ロシア:約36万t
火砲
日本:636門 ロシア:2260門
日本とロシアの国力や戦力を比較すると圧倒的にロシアが上回っており、諸外国からも間違いなくロシアが勝利すると思われていました。
なぜ日露戦争は起きてしまったのか理由を簡単に解説
そもそもなぜ日露戦争が起きてしまったのかというと、ロシアが南下して清や朝鮮半島を支配し、やがて日本に侵攻してくるのを防ぐ為に戦争を余儀なくされたのです。
清は1894年に開戦した日清戦争で日本に敗れると、ヨーロッパ各国は次々に中国大陸に侵攻してきました。
こうした各国の動きに対し、ロシアも極寒の領土以外の土地を求めて中国大陸に南下してきたのです。
戦いの舞台となった遼東半島は、日清戦争後に日本が領有権を得ていたにも関わらず、ロシア・ドイツ・フランスの「三国干渉」によって清に返還させられました。
しかしその遼東半島の旅順はロシアが支配してしまい、さらに朝鮮半島の支配を目論んでいることは明白でした。
これ以上ロシアの侵攻を許すわけにはいかなくなった為、日本はロシアと戦うことになったのです。
「不死身の杉本」こと主人公・杉元佐一も参戦した203高地とは?地図から解説!
それでは、『ゴールデンカムイ』の主人公・杉元佐一も参戦したという203高地とは、どの辺りのどんな戦いだったのか地図をもとに解説していきます。
杉元佐一も参戦した203高地の場所を地図上で確認
『ゴールデンカムイ』でもたびたび語られる「203高地」は、現在の中国・大連にある旅順港付近の小高い丘陵です。
その名の通り海抜203メートルの高さがあり、ここから旅順港を一望出来る為、ロシア軍はここに要塞を築いて監視できる態勢をとっていたのです。
こちらの地図上の中央に見える丘陵が203高地で、南にある旅順港までは数キロの距離に位置しています。
なぜ203高地で戦いが起きたのか簡単に解説
ではなぜこの203高地で戦いが起こったのかというと、中国大陸に居座るロシアを叩く為、上陸の足がかりとして旅順を攻略する必要があったことが挙げられます。
その旅順港には多くのロシア艦隊が待ち受けており、日本の海軍は近づくことができずにいました。
そこで、陸軍に要請して203高地を制圧しそこから砲撃し援護射撃をすることで、陸・海からロシア艦隊を潰す作戦にでたのです。
言わば日露戦争の運命を左右する旅順攻略の最重要ミッションが203高地の制圧で、ロシアもそうはさせまいとして激しい戦いが起こったわけです。
「不死身の杉本」の名前の由来は戦死者1万人以上の悲劇を生き抜いたから?
旅順攻略の最大の鍵を握る203高地には、ロシア軍の無数の堡塁(石やコンクリートで出来た陣地)が築かれており、そこへの攻撃はとてつもない困難でした。
当時は戦闘機や戦車などはなく陸上からの攻撃は騎馬兵と歩兵に限られ、この203高地の戦いも多くの歩兵が投入されました。
しかしロシアの堡塁から集中砲火を浴び、突撃した日本兵は次々に倒れてしまいます。
この203高地制圧の為に日本は3回の総攻撃をしかけ、最終的には制圧に成功したものの、攻略には合計で1万人以上(1回目5017人、2回目1092人、3回目5052人)の戦死者を出す悲劇的な勝利でした。
ゴールデンカムイの主人公・杉元佐一が「不死身の杉本」と呼ばれるのも、こうした激戦地から生還したことによるものでしょう。
それほどまでに203高地の戦いは凄まじかった、ということの現れですね。
まとめ
- 日露戦争が起きた理由は、ロシアの南下を防ぐため。
- 日露戦争で「旅順攻略」は重要な戦略だった。
- 「旅順攻略」の為にも203高地を制圧し、陸・海双方向からロシアの旅順艦隊を攻撃することが最重要ミッションだった。
- 203高地での戦いは3回の総攻撃で勝利したが、戦死者1万人以上を出してしまった。
- 「不死身の杉本」の名前の由来は、こうした203高地の激戦から生還したことによる。
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