何気なく使っている「伊達メガネ」や「伊達男」「伊達巻」といった言葉の「伊達」とは、実は戦国武将の伊達政宗に由来しています。
なぜ「伊達」という言葉が使われるようになったのか、その語源や意味を解説しています。
目次
「伊達メガネ」や「伊達男」「伊達巻」の語源や由来は派手でおしゃれな戦国武将・伊達政宗!
伊達政宗が語源の「伊達男」の由来や逸話を紹介
男らしくておしゃれな男性のことを「伊達男」と言いますが、これは戦国武将の伊達政宗に由来しています。
伊達政宗は特徴的な兜や派手な衣装を好んでいたことでも有名で、奇抜な言動や目立つ衣装を好む「傾奇者」と呼ばれることもあります。
伊達政宗は、豊臣秀吉に謀反の疑惑をかけられ呼び出しをうけると、なんとまるで死装束のような真っ白な陣羽織をはおり、家臣には磔にする柱を引かせて秀吉の前に現れたのです。
「自分の死に様を覚悟している」と言わんばかりのド派手な演出を見た秀吉は、そのパフォーマンスと度胸を買って許すことにしました。
こうした派手な逸話もある伊達政宗に由来して、男らしくおしゃれで派手な男性を「伊達男」と呼ぶようになったのです。
伊達政宗が語源の「伊達メガネ」の由来を解説
もともとは「立つ」が語源で、これは「引き立てる」「男を立てる」という意味の「立つ」のことです。
つまり「引き立てるメガネ」だったわけですが、それが「立てるメガネ」→「立てメガネ」→「伊達メガネ」となったわけです。
「伊達男」という言葉の由来のとおり、伊達政宗の「伊達」はおしゃれという意味もあるので、それが語源となって「立て」が「伊達」と変わっていったのです。
あまり意識せずに使っている「伊達メガネ」という言葉も、実は伊達政宗に由来しているんですね。
おせち料理の定番「伊達巻」も伊達政宗に由来
おせち料理の定番「伊達巻」も実は伊達政宗に由来しています。
「伊達巻」は色鮮やかな黄色をしていて派手な卵焼きですよね。
もうおわかりかと思いますが、「伊達」という言葉には伊達政宗に由来した「派手」という意味があり、「派手な色で巻いた卵焼き」が転じて「伊達巻」となったわけです。
様々なところで「伊達」という言葉が使われいて、いかに伊達政宗が派手でおしゃれであったかがわかりますね。
「伊達ではない」という言葉の由来にも
「伊達ではない」という言葉は、「見掛け倒しではない。外見が派手なだけではなく実力がある」といった意味で用いられる表現ですね。
この表現に使われる「伊達」も、「伊達」=「派手」という認識が定着して使われるようになった言葉です。
「伊達」=「派手」という共通認識は言葉にまで浸透しているわけですね。
伊達政宗を象徴する特徴的な三日月の兜の意味を解説!
伊達政宗といえば大きな三日月の兜が象徴的ですよね。
実はその兜の三日月にはとある意味が込められています。
それはそんなことなのかご紹介します。
伊達政宗の兜の三日月の前立てに込められた意味を解説
伊達政宗が誕生した当時、北極星を神格化し「妙見菩薩」を軍神と崇める「妙見信仰」が流行っており、太陽・月・星といった天体をシンボルとしていました。
「妙見信仰」とはインド発祥の菩薩信仰が中国で道教の北極星・北斗七星信仰と習合し、仏教の一つとして日本に伝来したものです。
父の伊達輝宗は息子・正宗の誕生に際し、この「妙見菩薩」のシンボルである太陽をモチーフにした「白地に赤丸」の旗印を考案します。
それと対になるように月を兜の前立てしつらえ、太陽と月という妙見菩薩のシンボルを取り入れることで武勇のご加護を祈念したわけですね。
ちなみに、日本では仏教の菩薩と日本固有の神様を同一視することが多々あり、この「妙見菩薩」は「天之御中主神」という神様と同一視されています。
この「天之御中主神」は、天地開闢(世界の始まり)の最初に誕生した神様とされており、いわば始祖の神様とも言える存在です。
始祖の神様・天之御中主神は意外なところでもつながっているので、興味のある人は下記の記事も読んでみて下さい。
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伊達政宗の兜の実物は仙台市博物館に展示される
戦国武将の鎧のことを「具足」と呼び、伊達政宗の象徴的な兜と対になる具足は「黒漆五枚胴具足」と言い、実物が仙台市博物館に所蔵されています。
「伊達」=「派手」というイメージから、具足も色鮮やかなものを想像しますが、意外にも黒を基調としたシンプルなデザインとなっています。
具足が黒でシンプルなだけに、いっそう兜の三日月の前立てが引き立つデザインですね。
なお、仙台市博物館には他にも伊達家に伝わり現存する具足が展示されます。
いずれも常設展示ではない為、実物を観覧したい人は事前に確認しておきましょう。
まとめ
- 派手な逸話もある伊達政宗に由来して、男らしくおしゃれで派手な男性を「伊達男」と呼ぶようになった。
- 「引き立てるメガネ」→「立てるメガネ」→「立てメガネ」が転じて「伊達メガネ」となった。
- 「派手」=「伊達」から、派手な黄色の卵焼きを「伊達巻」と呼ぶようになった。
- 「外見が派手なだけではなく実力がある」という意味の「伊達ではない」という言葉は伊達政宗の「伊達」に由来している。
- 伊達政宗の三日月の兜は、月をシンボルとした軍神・妙見菩薩のご加護を祈念してつけられた。