「鬼滅の刃」に登場する錆兎と真菰の正体は、実は日本の神話「因幡の白兎」なのかもしれません。
「それって一体どういうこと?」と思った人はぜひ読んでみて下さい。
「因幡の白兎」のあらすじも紹介しながら、その理由について解説していますので。
目次
「鬼滅の刃」の錆兎と真菰は何巻に登場する?登場シーンを簡単におさらい
まずは錆兎と真菰について簡単におさらいしておきましょう。
錆兎と真菰の登場はコミックスの1巻と2巻:15巻の富岡義勇の回想で再登場
錆兎と真菰は、「鬼滅の刃」のコミックス第1巻と第2巻をメインに登場します。
なお、15巻の富岡義勇の回想ストーリーの中で錆兎は再び描かれていますが、この記事では割愛します。
錆兎と真菰は鱗滝のかつての弟子で、炭治郎の鍛錬に協力した
主人公の炭治郎は、鬼殺隊に入隊すべく師匠の鱗滝のもとで鍛錬していました。
ところが、鱗滝が言うには、鬼殺隊に入隊する為の「最終選別」に参加するには、巨大な岩を斬れなければならない、とのこと。
炭治郎は何度も岩を斬ろうと試みるも、半年経ってもまったく斬れる気配がありません。
落ち込んでいる炭治郎のもとに、高笑いとともに突然現れた錆兎。
すると錆兎は未熟なところを指摘しながら、炭治郎を木刀で殴って気絶させてしまいます。
目が覚めると、そこにはかわいらしい少女の真菰がいました。
真菰は炭治郎にさまざまなアドバイスをし、炭治郎の鍛錬を助けてくれたのでした。
さらに半年経ったある日、いつものように炭治郎が錆兎に挑むと、ついに初めて錆兎より先に打ち込むことができ、錆兎が着けていた面を割ることができました。
すると素顔の錆兎は、泣きそうな嬉しそうな安心したような笑顔を見せ、気づくといつの間にか消えていました。
炭治郎は、ふと錆兎の面を斬った刀の方を見ると、そこには真っ二つに割れた巨大な岩があったのです。
実は錆兎と真菰はすでに死亡していた
こうして、巨大な岩を斬ることができた炭治郎は最終選別に向かうことになりました。
しかし、この最終選別の場所には手鬼と呼ばれる大型で異形の鬼がのさばっており、参加者に次々に襲いかかっていました。
鱗滝にもらった「厄除の面」をつけていた炭治郎を見つけた手鬼は、自分がやられた恨みから、「厄除の面」をつけた参加者を次々に殺してきたことを打ち明けます。
そしてその中には錆兎と真菰も含まれていたと言いました。
実は錆兎と真菰はこの手鬼によって殺され、すでに死亡していたのでした。
それを聞いた炭治郎は、怒りで呼吸を乱してしまい苦戦をするものの、錆兎と真菰との鍛錬を思い出し、見事に手鬼を倒すことに成功します。
このように、錆兎と真菰はすでに死亡していましたが、その意志を炭治郎に託すべく魂が姿となって現れていたのです。
「因幡の白兎」神話のあらすじを簡潔に解説!
続いて、日本最古の歴史書である『古事記』に書かれている「因幡の白兎」の神話のあらすじを簡潔にご紹介します。
泣いている因幡の白兎と大国主命(オオクニヌシノミコト)の出会い
ある日、海岸で泣いている白兎を見つけた大国主命は、かわいそうに思ってなぜ泣いているのか尋ねました。
すると、ここに来る途中でワニ(サメ)を騙したら、噛まれて毛をむしられて傷ついてしまったと言いました。
そこへ大国主命の兄弟の八十神(ヤソガミ)が来て、治療法として教わったことをしたら、余計にひどくなってしまい泣いていると言いました。
傷ついた因幡の白兎を助けた大国主命が美しい女性と結婚する
それを聞いた大国主命は治療法として、河口に行って淡水で体を洗い、近くに生えている蒲(ガマ)の穂の花粉を敷き詰めてそこに寝ころがりなさいと教えました。
そして白兎がその教えに従うと、たちまち傷が回復したのです。
白兎は助けてくれたお礼に「あなたは美しい八上比売(ヤガミヒメ)と結ばれます」と予言をすると、その予言のとおりに大国主命は八上比売と結婚することになったのです。
一般的に語られる「因幡の白兎」のストーリーはここでハッピーエンドを迎えます。
「良い行いをすれば良い結果が待っている」というメッセージを示した神話だと言えますね。
ここでは簡潔に紹介しましたが、詳しいストーリーを知りたいと思った人は、下記の記事を参考にしてみて下さい。
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「鬼滅の刃」の錆兎と真菰の正体がなぜ「因幡の白兎」なのか、関係性を名前の由来などから解説!
それでは本題に入りましょう。
「鬼滅の刃」の錆兎と真菰の正体がなぜ「因幡の白兎」と言えるのか解説していきます。
錆兎の名前と頬の傷・痣が因幡の白兎と関係している
まず錆兎の名前からして「兎」という字が使われています。
また、錆兎の素顔の頬には痣のような傷がありますよね。
この痣のような傷は、「因幡の白兎」で兎がワニ(サメ)に噛まれて傷ついたことを意味しているのではないでしょうか。
さらに、錆兎の髪の色「宍色」は「獣の肉の色」という意味があり、これは毛をむしられて肌が露出してしまった兎をイメージできます。
つまり錆兎の名前と痣のような頬の傷、そして髪の色から「因幡の白兎」そのものを示していると言えます。
真菰という名前が「因幡の白兎」の物語の内容と関係している
次に「真菰」についてみていきましょう。
そもそも真菰とは河口などの水辺に生えている多年草のことです。
また、真菰は出雲大社の神事「凉殿祭(すずみどののまつり)」で使われ、ここで使われた真菰を貰うと無病息災のご利益があると言われています。
「因幡の白兎」で兎の傷を治す為に使われた蒲(ガマ)も水辺に生えている多年草で、真菰の特性とよく似ており、これに見立てて「真菰」という名前のキャラクターにしたのではないでしょうか。
さすがに少女の名前が「蒲」ではかわいらしくないので、特性の似た「真菰」という名前にしたのではないかと思います。
また、「因幡の白兎」の舞台は鳥取県ですが、助けた神の大国主命は出雲大社に祀られる神様で、神事にも使われる真菰と密接な関係があります。
このように真菰は、「因幡の白兎」の傷を治した蒲に見立てて付けられた名前であり、出雲大社との関わりが深いことも共通しています。
↓実際の出雲大社の凉殿祭の様子。
「鬼滅の刃」の錆兎と真菰の正体が「因幡の白兎」と言える理由のまとめ
以上のことを踏まえ、なぜ「鬼滅の刃」の錆兎と真菰の正体が「因幡の白兎」と言えるのか、その理由をまとめます。
- 錆兎の名前と痣のような頬の傷、そして「宍色」の髪が「因幡の白兎」そのものを表現している。
- 真菰は「因幡の白兎」の傷を治した蒲(ガマ)を見立てて名づけられていて、出雲大社との関係性が深いという共通点がある。
※これらのことはあくまでも筆者の個人的な考察です。
「鬼滅の刃」は日本の神話に由来している:その理由を解説!
さて、この記事では「鬼滅の刃」に登場する錆兎と真菰の正体は『古事記』の神話「因幡の白兎」だとお伝えしましたが、実は「鬼滅の刃」はこの他にも日本の神話に由来していることがあります。
そもそも「鬼滅の刃」は、作品のタイトルに日本の神話の神様が使われていた可能性もありますし、音柱・宇髄天元は神話の神様がモデルになっている可能性もあります。
これらのことは下記の記事で書いていますので、気になった人は併せて読んでみて下さい。
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いかがでしょうか。こうしてみると、『古事記』の日本神話について興味がわいてきませんか?
どんな内容か知りたいと思ったら、まずは動画で見ておおまかな内容をつかむといいと思います。
下記の記事の中でオススメの動画を紹介しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
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また、さらに詳しく知りたいと思ったら、下記の本などがオススメです。
私のブログの参考図書でもあります。
これをきっかけに、ぜひ多くの人に日本の神話の事を知ってもらえたら嬉しいですね。
また、私のブログでは、今回ご紹介した「鬼滅の刃」と「因幡の白兎」の関係性のように、漫画やアニメ・その他のサブカルチャーと日本の神話の関係性を結びつけた記事も書いています。
こちらも併せて読んでもらえると嬉しいですね。
↓鬼滅の刃と日本神話との関係についてはコチラ↓
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