ついに最終巻が発売された『鬼滅の刃』。
予想外の最終回に驚いた人は数え切れないでしょう。
そして、なんと言っても驚いたのが鬼舞辻無惨がまさかの巨大な赤ちゃんのような姿に化けたことですよね。
誰もが「なぜ赤ちゃんなんだろう?」と疑問に思ったはず。
そこで、この記事では鬼舞辻無惨がなぜ赤ちゃんの姿になったのか、日本の神話と関連付けながら考察しています。
「神話なんかと関係があるの?」「そもそも日本の神話なんてよく知らない」と思った人はぜひ読んでみて下さい。
『鬼滅の刃』鬼舞辻無惨が赤ちゃんの姿になったか日本の神話から考察!
まずは『鬼滅の刃』と日本の神話との結びつきをご紹介しながら、なぜ鬼舞辻無惨が赤ちゃんの姿になったのか考察していきます。
鬼舞辻無惨が赤ちゃんの姿になったのは『鬼滅の刃』単行本23巻199話
『鬼滅の刃』の鬼舞辻無惨が赤ちゃんの姿になったのは、単行本23巻199話「千年の夜明け」のワンシーンです。
だんだんと朝日が昇り、なんとか日の光から身を守ろうとした鬼舞辻無惨は、肉体を膨張させて肉の鎧を生み出そうとしました。
そして、その結果膨れ上がった体がまさに赤ちゃんのような姿だったんですね。
鬼舞辻無惨は日本の神話に登場するイザナミ
「鬼滅の刃」は日本の神話と深い関係があり、様々な場面で神話をモチーフにしています。
一例を挙げると、『鬼滅の刃』単行本1巻に書かれている「大正コソコソ噂話」で、作品のタイトルの候補に「鬼狩りカグツチ」「炭のカグツチ」というものがあり、この「カグツチ」は日本の神話で火の神のことなんです。
このことからもわかるように、『鬼滅の刃』の作品自体が日本の神話と関係していることは明らかなんですね。
そして、日本の神話と『鬼滅の刃』を関連付けて考えると、鬼舞辻無惨は日本の国土やそこに住む神々を生み出した創造の神・イザナミと捉えることができるのです。
ちなみに、イザナミは女神なのですが、イザナギという夫がおり、夫婦で日本の国土を創造しました。
なぜ「鬼舞辻無惨=イザナミ」と言えるのかについては、下記の記事で詳しく解説していますので、こちらを読んでみて下さい。
-
鬼滅の刃の鬼舞辻無惨の元ネタはイザナミ?産屋敷との関係も古事記の日本神話から考察!
「鬼滅の刃」の鬼舞辻無惨の元ネタは「古事記」の神話に登場イザナミなのかもしれません。 イザナミって何?それってどういうこと?と気になった人はぜひ読んでみて下さい。 目次1 イザナミ(伊邪 ...
続きを見る
日本の神話ではイザナミと赤ちゃんにまつわる神話がある
さて、そのイザナミはイザナギとまぐわって日本の国土を生み出そうとしたのですが、最初に生んだ赤ちゃんは手足のない「ヒルコ(ヒルのような子)」でした。
二柱(※1)は、かわいそうに思いながらも、なんとそのヒルコを流して遺棄してしまったのです。
このように、実は日本の神話は恐ろしい話や卑猥な話もけっこうあり、読んでみると意外すぎる話に驚くかもしれません。
ちなみにこのヒルコにまつわる神話については、下記の記事で詳しく解説していますので、日本の神話に興味を持たれたらこちらも読んでみて下さい。
-
イザナギとイザナミの最初の子供「ヒルコ」にまつわる怖い神話や逸話を解説!
日本の歴史書『古事記』や『日本書紀』の神話に登場し、漫画やゲームのキャラクターのモデルにもなるイザナギとイザナミ。 そのイザナギ・イザナミは夫婦の神様で、日本の成り立ちに大きく関わる神様です。 ですが ...
続きを見る
※1
神様を数える時は「~人」ではなく「~柱」と数えます。
『鬼滅の刃』の柱もこれに由来しているのではないでしょうか。
鬼舞辻無惨が赤ちゃんになった理由は、神話に登場する最初の赤ちゃん「ヒルコ」のイメージ?
さて、なぜ鬼舞辻無惨が赤ちゃんのような姿になったのか?ということですが、それは作者の吾峠呼世晴先生が、この神話のヒルコをイメージしたからではないかと考えます。
ご紹介したように、日本の神話のイザナミにとって、赤ちゃんであるヒルコは、流されてしまう「滅びゆくモノ」・「穢」を連想させます。
そして、鬼舞辻無惨はそのイザナミに重ね合わせると、「滅びゆくモノ」・「穢」の象徴の赤ちゃんの姿こそ、その最期にふさわしいと考えたのではないでしょうか。
また、赤ちゃんというと、これから成長して未来のあるイメージを抱きますが、神話が作られた時代は赤ちゃんの死亡率は格段に高く、出産は母子ともに命の危険を伴うものでした。
こうしたことからも、鬼舞辻無惨が赤ちゃんの姿になったのは命の危うさを暗に示していたのかもしれません。
炭治郎と鬼舞辻無惨の関係も神話に由来している?
さて、鬼舞辻無惨が「イザナミ」だということはわかっていただけたと思います。
実は炭治郎も神話に登場する神と重ね合わせることができ、その神の神話と『鬼滅の刃』のストーリーがとてもよくリンクしているのです。
それでは、一体どのようにリンクしているのか?そのことについてご紹介していきましょう。
炭治郎は日本の神話の火の神「カグツチ」
鬼舞辻無惨が日本の神話に登場する創造神「イザナミ」に当てはまるのと同様に、炭治郎も火の神「カグツチ」に当てはめることができます。
これは前述したように「鬼狩りカグツチ」「炭のカグツチ」というタイトルの候補からも明らかでしょう。
この火の神「カグツチ」については、下記の記事でご紹介していますので、こちらも併せて読んでみて下さい。
-
古事記のイザナギ・イザナミのかわいそうな子供カグツチを解説!鬼滅の刃ヒノカミ神楽との関係も
日本最古の歴史書『古事記』の物語に登場するイザナギ(男神)とイザナミ(女神)は、日本の国土を創造し、そこに住む神様を産み出した夫婦の神様です。 次々と子供となる神様を産み、火の神「カグツチ」(漢字表記 ...
続きを見る
日本の神話ではイザナミはカグツチによって死に至る
さて、このカグツチもイザナミから生まれた神なのですが、火の神ということもあり、イザナミはカグツチを生み出す時に陰部を火傷を負ってしまい、なんとそれがもとで死んでしまいます。
つまり、はからずもカグツチがイザナミを殺してしまったわけです。
これを『鬼滅の刃』にあてはめると、炭治郎(カグツチ)を体内に取り込んだことにより、それが原因となって鬼舞辻無惨(イザナミ)は死に至ったとみなすことができます。
こうしてみると、神話の「カグツチがイザナミを死に至らせる」という物語が『鬼滅の刃』の「炭治郎が鬼舞辻無惨を死に至らせる」ということにリンクしているように思えますよね。
このように、様々な角度から日本の神話と『鬼滅の刃』が繋がっていることがわかっていただけたと思います。
まとめ
- 鬼舞辻無惨は日本の神話に登場する創造の神・イザナミと捉えることができる。
- イザナミにとって赤ちゃんの「ヒルコ」は「滅びゆくモノ」「穢」を意味している。
- 鬼舞辻無惨が赤ちゃんの姿になったのは、「滅びゆくモノ」「穢」の象徴をイメージしたから(推測)
- 炭治郎は火の神「カグツチ」と捉えることができ、イザナミを死に追いやったという点で『鬼滅の刃』とリンクする。
当ブログではこうした『鬼滅の刃』と日本神話の関係についての記事を掲載しています。
あまり知られていない日本神話と照らし合わせると、一味違った楽しみ方ができると思うので、ぜひこちらも読んでみて下さい。
↓鬼滅の刃と日本神話との関係についてはコチラ↓