麒麟がくる

斎藤道三(利政)はなぜ美濃のマムシと呼ばれたのか?理由や由来と成り上がりの逸話を紹介!

2020年3月13日

令和2年の大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公・明智光秀が美濃にいた頃に仕えていた主君・斎藤道三。

その斎藤道三は「美濃のマムシ」という異名をもち、戦国時代の下剋上の代名詞とも呼べる戦国大名でした。

では、なぜ斎藤道三が「美濃のマムシ」と呼ばれたのか?その理由や由来、そして下剋上によって戦国大名となるまでの成り上がりの逸話やエピソードをご紹介します。

 

斎藤道三が「美濃のマムシ(蝮)」と呼ばれた理由を解説!

そもそも「マムシ」とは毒ヘビの一種で、主にカエルやネズミなどを捕食します。

その際、鋭い牙で噛みつき毒で相手を弱らせ、最後は丸飲みしてしまいます。

斎藤道三は、一介の油売り商人から下剋上で美濃の国を奪った戦国大名で、その様子がまるでマムシの捕食のようだったことから「美濃のマムシ」という異名が付けられました。

毒をもって相手を弱らせ、一気に飲み込んでしまう。

そんな恐ろしい「美濃のマムシ」こと斎藤道三はどのようにして美濃の国を飲み込んだのでしょうか。

 

 

斎藤道三の生い立ちや異色の経歴・油売りの商人だった頃の逸話やエピソードを解説

斎藤道三は戦国大名に成り上がる前は油売り商人だったという異色の経歴があります。

そんな異色の経歴をもつ斎藤道三の生い立ちから油売りとなった頃の逸話やエピソードについてご紹介します。

なお、「斎藤道三」という名前は後年になってからの名前で、それまでは様々な名前を名乗っていましたが、ここでは「斎藤道三」としています。

 

斎藤道三の生い立ちは京都:寺の僧侶から油売りの商人になった異色の経歴

斎藤道三の父は松波基宗もとむねといい、かつては天皇を守護する「北面の武士」でしたが、没落して浪人の身となっていました。

斎藤道三は生まれた頃から頭がよく、その才能を見込んだ父は、立身出世の為に京都妙覚寺に斎藤道三を預けます。

そこで「法蓮房」という名前で頭角を現していた斎藤道三ですが、同じく京都妙覚寺で学友であり弟分の日運(当時は南陽房)が、美濃の寺の住職になったと同時期に還俗してしまいます。

還俗してからの後、油売り商人の奈良屋又兵衛の娘をめとり、その商売を継いで美濃で油売りの行商をしていました。

 

油売り商人時代のエピソードを紹介

美濃で油売りの行商をしていた斎藤道三は、ただ油を売るわけではなく面白いパフォーマンスをしながら油売りをしたというエピソードがあります。

そのパフォーマンスとは、油を入れる壺の口に穴の空いた一文銭を押し当て「油を壺に注ぐのにジョウゴは使いません!しかもこの一文銭の穴を通して油を注いでみせます!もし油がこぼれたり、少しでも一文銭にふれるようなことがあれば、お代は一切頂きません!」と言って客を呼び込み大評判になっていたそうです。

ある日いつものように油売りのパフォーマンスをしていると、とある武士から「なるほどすごい修行の末の技だ。しかし所詮は商人の技であって、この修業の力を武芸に向けていればよかったのに。惜しいことをしたものだ」と言われます。

その言葉に奮起した斎藤道三は、一念発起して油売りの商売をやめ、槍の修行を始めて武人としての道を歩み始めたという逸話があります。

 

 

斎藤道三が下剋上で「美濃のマムシ」と呼ばれるまでの成り上がりの逸話を解説!

油売りの商人から一転して「美濃のマムシ」と呼ばれるほどの戦国大名になった斎藤道三。

「美濃のマムシ」と呼ばれるまでの、その成り上がりの逸話をご紹介します。

成り上がりの第一歩:僧侶時代の学友・日運を頼り長井家に仕える

斎藤道三は京都妙覚寺で僧侶であった頃の学友・日運を頼り、美濃の大名・土岐家に仕える武家の長井家に仕えることになります。

もともと油売りの時代から親しくしていた長井長張ながひろに重用されると、当時の美濃の守護であった土岐とき政房まさふさに紹介されるようになります。

すると土岐政房は斎藤道三をとても気に入り、やがて土岐家に召し抱えられるまでになったのです。

 

長井家から美濃の名門・土岐家に仕える

土岐政房に気に入られたものの、その子・土岐頼武よりたけには毛嫌いされていました。

ただ、頼武の弟の賴芸よりのりには当初は好感を得ていたようで、斎藤道三はこの弟の賴芸をうまく利用しようと企むようになります。

土岐政房が亡くなると、兄の頼武が土岐家の家督を継ぐことになり、頼武に毛嫌いされていた斎藤道三は窮地に立たされます。

ところがそんな逆境はなんのその。反対に、弟の賴芸をそそのかして頼武を排除しようと企てたのです。

そして弟の賴芸からの軍勢を借り、不意に兄・頼武の居城を襲うと、慌てた頼武は越後へと逃げる羽目になりました。

こうしてついにクーデターを成し遂げ、弟の賴芸が土岐家の当主となり、それは斎藤道三にとって都合のいい君主だったわけです。

 

「美濃のマムシ」と呼ばれるようになった理由の下剋上の逸話

兄の頼武を排除して土岐家の当主となった賴芸は、最大の功労者である斎藤道三を重用するようになると、土岐家の中で飛ぶ鳥を落とす勢いで出世します。

そうなると、土岐家の家中でも実力のあった長井長張は面白くありません。

斎藤道三が活躍すればするほど二人の間には溝ができ、やがて長井長張は斎藤道三にとって邪魔な存在となっていきます。

そしてついには長井長張を殺害し、その居城であった稲葉山城を奪ってしまったのです。

それに激怒した長井家の親族は、兵を集めて斎藤道三を襲おうとしますが、斎藤道三は主君の賴芸を頼りうまいこと和睦にこぎつけます。

しかもこの和睦にあたって賴芸の親戚筋の大名・佐々木義秀を仲裁役に立て、かえって大きな後ろ盾を得てしまったのです。

こうなると斎藤道三の野心はさらに膨らみます。

とうとう主君である土岐賴芸を追い払ってしまおうと考えるようになるのです。

天文11年5月、斎藤道三は約1万人の兵を率いて土岐賴芸のいる大桑城おおがじょうに突如として攻め込みます。

あわてふためた土岐賴芸は、なすすべもなく城を追われ、尾張へと逃げていったのです。

こうして、ついに斎藤道三が下剋上によって主君の土岐賴芸までも追い払い、美濃を飲み込んでしまったのです。

長井長張や土岐賴芸のように、一度噛みつかれると徐々に毒がまわり、やがては飲み込まれてしまう。

大名に成り上がるまでの斎藤道三の下剋上をみると、「マムシ」と呼ばれる理由がわかりますよね。

※近年の研究によると、美濃の国盗りは斎藤道三の父から二代にわたるものだったとも言われています。

 

 

斎藤道三が「美濃のマムシ」という異名の由来である下剋上のまとめ

斎藤道三が「美濃のマムシ」と呼ばれるようになった理由の下剋上を簡単にまとめてみました。

  • 油売り商人から長井家に仕える武士になる。
  • 長井家の主君・土岐政房に仕える。
  • 政房の死後、跡を継いだ兄・頼武に嫌われる。
  • 弟・賴芸を利用し兄・頼武を排除して、賴芸を土岐家の当主にする。
  • 邪魔になった長井長張を殺害する。
  • 力をつけ、当主の賴芸をも排除し美濃の国を奪う。

こうして斎藤道三が戦国大名に成り上がるまでの過程をみると、すべての行動が美濃を乗っ取る為に計算されていたように思えますね。

自分の目的の為には手段は選ばず、獲物(長井家や土岐家)に噛み付いたら毒で弱らせて最後は飲み込んでしまう。

斎藤道三が「美濃のマムシ」と呼ばれ怖れられたのもよくわかりますね。

ただ、そんな「美濃のマムシ」も、最後は飲み込んだはずの獲物によって腹の内側から殺されてしまいます。

どういうことかと言うと、抑圧していた息子の義龍(高政)によって反乱を起こされ、「長良川の戦い」という争いに発展した末に殺害されてしまうのです。

この親子の争いについては下記の記事でご紹介していますので、斎藤道三の波乱の最後を知るうえでも読んでもらえると嬉しいです。

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